セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.788 『遠隔化のススメ』

GS業界・セルフシステム

2020-04-13

 経済誌「フォーブス」がこのたび発表した世界長者番付に,オンライン会議システム「Zoom」を提供する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズを起業したエリック・ユアンCEOが初めてランキング入りした。新型コロナによって世界中で多数の人々が自宅待機を強いられる中,「Zoom」は仕事の会議,学校の授業,セミナーや集会,果ては“オンライン飲み会”など様々な会合に活用されている。同社の株価は今年に入り倍増。自社株の46㌫を保有するユアン氏の保有資産額は55億㌦(約6000億円)となったという。

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 私も最近,幾つかの会合や打ち合わせに「Zoom」を使用したが,操作は簡単で非常に便利な代物である。わざわざ時間と費用をかけて会いに行かなくても(あるいは来てもらわなくても),一対一の対話なら何時間でも無料で話せる。3台以上の会話は,無料版では40分の時間制限があるものの,すぐに再接続すれば,また40分間連続で話すことができるから,休憩時間を入れる感覚だ。というか,40分以内にミーティングの目的を達成できるよう,参加者も努力するなら効率化が図れるというもの。

 テレワークの効能はこれまでも盛んに強調されてきたが,多くの企業はなかなか“伝統”から抜け出せず,ゆえに,人々は通勤のために膨大な時間を費やし,CO2を排出し,人間関係から生じるストレスを蓄積してきた。家族や恋人と過ごしたり,自己啓発のために用いる時間はおのずと犠牲にしなければならない状態だったが,コロナショックによって否が応でも,これを改善せざるを得なくなったというわけだ。実際,物理的に同じ空間を共有しなければならない仕事がどれぐらいあるのか。営業マンの「新任ご挨拶」とか「ご機嫌伺い」の訪問なんて,本当に必要なのか?ただ社長の訓示を聞くためだけに従業員が参集する会社って効率的といえるか?

 いまから22年前に,GSのセルフ方式が認可されたとき,業界では否定的な意見が多かった。「お客様と対話してこそ商売といえるのであって,監視室で座っているだけなんてけしからん」,「うちの店に来るお客様は,自分で給油するなんてことはしないし,セルフスタンドなんかには行かない」─。こうした事を真顔で説くGS経営者は,実はいまも結構いるんじゃないだろうか。日本国内でセルフGSが全体を占める割合は,いまだ3割強。まだまだスタッフ給油の店舗が幅を利かせている。だが,それも新型ウイルス渦によって変化してゆくのではないだろうか。

 国による緊急事態宣言が発出されなかった自治体においても,独自の宣言がなされているが,それらは皆,一言でいえば外出自粛要請である。とにかく,家でじっとしていてくれ,人と接触しないでくれ,というわけだ。いまのところ,GS業界は“やっていて当たり前”的な扱いだが,もしどこかのGSでクラスター感染など起きようものなら“ガソリンスタンドはなるべくセルフ方式の店を利用してください。また,セルフで給油した後は必ず手洗いするように”なんて注意喚起がなされるかもしれない。

 無論,セルフは安全だと決め付けることはできないが,スタッフ給油は,やはり接客に伴う感染リスクがセルフと比べて格段に大きいのは事実だ。とにかく,いま世界中で叫ばれているのは「ソーシャル・ディスタンス」を保つこと。例えば,米アマゾン・ドット・コムでは,物流施設で働く従業員が6フィート(約1.8㍍)の距離を取るよう義務付けており,故意に違反した場合は厳重注意を受け,2回目には解雇処分されるという厳格な規定を設けている。GSにおいても,お客との距離,スタッフ同士の距離には十分気をつけるべきだ。セルフGSにおいても,安易にお客に近づかないよう,普段以上に注意しなければならない。「この仕事,命を懸けてまでやらなければならないことだろうか」と自問しながら働こう。

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