セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.386『今年の流行語』

オピニオン

2011-12-05

 恒例の「年間流行語大賞」,今年は『なでしこジャパン』。ご存知,サッカー日本女子代表の愛称。7月の女子W杯大会決勝で米国をPK戦の末下し,初優勝。震災復興のさなかにあって日本国民を大いに元気付け,国民栄誉賞も授けられた。それにしても,澤 穂希選手を筆頭に,アマゾネスのような勇猛果敢な女戦士たちが,何で「なでしこ」なんだ? なでしこの花言葉は「可憐・貞節・純愛」などだそうだから,かなりミスマッチな感があるのだが。

 GS業界に目を転ずれば,石川県のJA能美が「JAなでしこ」という店舗を運営していたのだが,こちらは昨年閉鎖されてしまった。いまのところ,社名や店名に「なでしこ」を冠しているGSは全国に一件もなさそうなのだが,店長以下スタッフ全員が女性の「なでしこSS」とか,女性客には給油や窓拭きをしてあげる「なでしこセルフ」があったらおもしろいかも。

 そのほかに入賞したことばとしては『3.11』や『帰宅難民』,『風評被害』など,やはり大震災に関係したものが並んだ。被災地から遠く離れた愛知県にいても,このたびの震災によって,一時的な供給不足や,夜間時の節電など,それなりの影響があった。もちろん,被災者の方々がいまも耐え忍んでいる苦境に比べれば,全然大したことではなかったが…。

 今回の震災は,日本人に家族や地域社会との『絆』の大切さを再認識させることになったわけだが,GS業界においても,仕入先との絆の強さの度合いを推し量ることになったと思う。元売や石商が常々唱えていた「サプライチェーン」なるものがいかに脆弱なものであったかが露呈され,一方で,独立系GSの調達力がとりわけ非常時において優れていることを証明することにもなった。元売とGSとの絆は確実に弱まっており,来年以降もPBとなるGSは跡を絶たないだろう。

 気がかりなのは,何の根拠もなく「来年こそ飛躍の年にしたい」などと願掛けするばかりで,決断を先送りしているGS経営者たちだ。このコラムで紹介した,油業報知社主催のセミナーにおいて,PB経営に踏み切るべきか否か,ハムレットのように苦悩しているGS経営者に幾人もお会いした。もう,元売とACのコマーシャルのような問答をいつまでもしている時ではない。

 「何とかしてくれ」と言うと,「何とかする」って言う。「何とかならないのか」と尋ねると,「何ともならない」って言う。「マーク降ろすぞ」って言うと,「マーク降ろせば」って言う。『こだまですか?』「いいえ,どこでも」─。

 ところが最近,一部元売は,硬直的な仕切り体系を押し通していては,系列店の転籍・廃業を誘発するばかりだと感づいたのか,一部系列店に事後調整を行なっているというウワサが,業界のネット掲示板などで飛び交っている。そんな恩恵にあずかっているGS経営者は“やっぱり系列にいて元売への忠勤に励む方がいいだろう”と『どや顔』するかもしれないが,正直,うらやましくも何ともない。所詮は,補助金をぶら下げられ,安全神話を盲信して原発建設を許した自治体と同じく,元売に生殺与奪権を委ねてしまったようなものだからだ。それに,元売がこれからもずっと『ラブ注入』してくれる保証は何もないのだ。

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