和田 信治
オピニオン
2006-03-20
石油業界誌記者の女性Aと、セルフスタンド経営者の男性Bとの会話─。
A「油業報知新聞・中部版に連載中のコラム『セルフ雑記帳』が100回目を迎えるそうですよ」
B「よくもまぁ、毎回同じ様な事を100回も書き続けたもんだねぇ」
A「でも、最近、“あのコラムなかなか面白いね”とおっしゃる方がちらほらいらっしゃるみたいですよ」
B「そりゃ100回も続けば、一人や二人お世辞言ってくれる人もいるでしょ」
A「ずいぶんと否定的ですね」
B「いや、否定してるんじゃないんだよ。あのコラムで和田氏が訴えている事は、特別目新しい事なんかじゃなくて、至極当たり前の事なんだ。要は“これからのガソリンスタンド経営はますます生存競争が激しくなりそうだ、だからローコスト経営だ”ということだろ?分かり切った事じゃないの」
A「でも、あのコラムでは、セルフ工事に始まって、運営コストや保守コストや管理コストなど、ありとあらゆる分野でコストを抑えるべきだと主張しているけれど、この業界ではそれを実践することは結構難しいんじゃないかしら。現に、日本のセルフスタンドは押しなべて大型店舗で、相当量のガソリンを販売してもそれだけじゃ採算に合わないから、油外商品をフルサービスのお店以上に一生懸命売らなきゃやってゆけないのが実情でしょ」
B「確かにね。ガソリンスタンド経営者が独学・独力で経営をしようとすると、大抵、元売の妨害や圧力に遭う。長らくこの業界は、元売の隷属下にあったから、セルフ時代になっても、個々のスタンドの健全経営よりも、元売の量販政策の方が優先されるのを許す結果になってしまったという訳だ。まあ、そういう意味では、あのコラムは万人受けするものではなく、自主・独立の道を志すスタンド経営者にウケる内容と言えるな」
A「たまたま『セルフ雑記帳』を見て、和田氏の考えに共感して、ローコスト・セルフシステムを導入した方もいらっしゃるようですね」
B「それが和田氏の狙いでもあるからね。そもそもあのコラムは、和田氏の経営する和田商事というセルフシステムの企画・施工会社の宣伝みたいなものだから」
A「それなら、広告を出したほうが早いし、効果的なんじゃないかしら」
B「広告費払う金がないもんだから、ノーギャラでコラムを書いて宣伝させてもらってるという訳さ」
A「へ~、あのコラム、ノーギャラなんですか」
B「そうだよ。そもそもギャラもらえるような内容じゃないでしょ。(笑)でも、掘り下げない文章の割には、当の和田氏は、毎週“死ぬ思い”で原稿を書いているらしいよ。最近では、“もうダメだ、今度こそ最終回だ!”って叫びながら書いているっていう話だ」
A「ま~大変そうね。それにしてもBさん、和田さんのことよく知ってらっしゃるのね」
B「ああ、実は彼とは長い付き合いでね。この間も一緒に飲んだばかりだよ。金もなければ知恵もない男だけれど、夢だけは売るほど持っていて、酔いがまわるといつも、いまのガソリンスタンド業界に革命を起こしたいとか何とか大きなこと言ってるよ。ただの妄想家かもしれんがね…」─。
コラム一覧へ戻る