セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.1000『デジタル社会に潜む罠』

社会・国際

2024-05-13

 『河野太郎デジタル相は10日の記者会見で,偽造したマイナンバーカードを身分証として使い,スマートフォンなどをだまし取る事件が相次いでいるとして,事業者らに注意を呼びかけた。河野氏は「目視でも丁寧にカードをチェックすれば偽造は見破れる」と強調。券面の印刷に特殊なインキが使われているかどうかなど,注意事項を記した文書を事業者らに配布する方針を示した。またICチップの情報をその場で読み取れるようになれば,詐欺は防げるとも指摘。活用できるアプリの有無を早急に調べ,適切なものがない場合はデジ庁が開発して無償提供すると述べた』─5月10日付「共同通信」。

 「偽造マイナ詐欺」という新手の犯罪だそうだ。何者かがあなたのマイナカードを偽造し,あなたが使っている通信会社のショップに行き,SIMカードを紛失したとか何とか言って再発行を申し出る。本人確認に必要な身分証明書として,偽造マイナカードを提出する。顔写真は犯人のものだが,その他の記載情報はすべてあなたのもの。まんまと再発行SIMを手に入れた犯罪者は,早速スマホを使って買い物をしたり,ネットバンキング口座から預金を引き出すというわけ。ある人は,この手口で225万円のロレックスをローンで購入させられたという。

 事件の原因は,本来ICチップの中身の情報で本人確認すべきところを券面の名前や番号,顔写真を目視などで済ませているところにある,と専門家は指摘している。マイナカードのウラ側にあるICチップをリーダーで読み取るようにすれば,偽造カードかどうかすぐにわかるのだが,ショップ側にそこまでの体制が整っていない間隙を縫って,詐欺グループが荒稼ぎしているようだ。現在,この犯罪の主な舞台となっているのは,名古屋市内のソフトバンクショップなんだとか。いずれにせよ,IC読取器を置いていないスマホショップは,いまのところ,マイナカードでの本人確認は,「丁寧に目視」するしかなさそうだ。

 ところで,まもなく新紙幣が発行されるが,やはり人々が見慣れないうちに偽札を作って両替したり買物したりする輩が出てくることが予想される。GS店頭でも十分注意しなければ。ただ偽札で一か所の店舗から何十万円もだまし取ることは難しいが,「おサイフケータイ」なら何百万円も使われてしまう。ネット上では『「丁寧に目視」せよとは…「デジタル庁」改め「アナログ庁」にしたら?』などと,マイナカードの不備を叩くコメントが多いが,問題の本質はそこじゃないと思う。やっぱり,なんでもかんでもスマホに紐付けして“これ一台で何でもできる”なんてことするから,ひとたび乗っ取られると,どえらい損害を被ることになる。今後も,デジタル社会を主戦場とした,邪悪な詐欺師たちと,それを追う政府当局との果てしないイタチごっこが続くことになろう。

 それにしても,油断も隙もない,ひどい世の中になったものだ。人々は未知の犯罪に怯え,偽情報に惑わされ,睡眠時間を奪われ,不安や孤独をますます抱えて生きることを余儀なくされている。いまどきまだ,テクノロジーの進歩によって,あらゆる問題を解決し,幸福と安全な世の中を実現できると信じている人はどれほどいるのだろうか。

 さて,お気づきの通り,このコラムも今回の記事で千回を迎えました。第一回の記事が油業報知新聞に掲載されてから20年余りの歳月が過ぎました。セルフスタンド日進東で店番をしながら,世の中の様々な出来事を観察し,あれこれ勝手気ままに書いてきましたが,今回を区切りとして無期限休載とすることにしました。ホームページも今月いっぱいで閉じさせていただき,インスタグラムにでも引っ越そうかと考えております。まだまだ健康だし,好奇心もあるものの,文才のない私にとって,毎週書き続けるのは思いのほか大変で,9百回を超えたころから,「千回まで」と決めておりました。永年,ご支援いただいた油業報知新聞をはじめとする関係各位に,心から感謝いたします。読者の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げて,筆を置かせていただきます。どうもありがとうございました。

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