セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.110『最近観察したこと』

GS業界・セルフシステム

2006-06-05

 最近、私の店で観察される幾つかの現象について─。

 現象その1。私の店はプリペイドカード方式による精算システムを採用しているが、初回給油で使い切ってしまったカードは、パンチ穴を開けずに回収し、リユースすることができる。千円・三千円プリカは、従来から7~8割方がリユースにまわされていたが、最近5千円プリカが無傷で回収される割合が増えている。以前はほとんどなかった一万円プリカも無傷で回収する事がちらほらある。

 現象その2。その精算機には、三千円までの小額給油は、現金を直接投入することができるのだが、その売上が最近やや減っている。しかも百円・五百円硬貨の溜まるペースは逆に上がっている。スタッフのYは、溜まり続ける百円玉を処理すべく、ポケットマネーをせっせと硬貨に両替しては、行きつけの飲み屋の支払いに使って嫌がられている。

 現象その3。ある日の事、券売機の前でこんな会話を聞いた。『幾らのカード買うの?』『三千円』『じゃあ私に半分出させて。いつも乗せてもらっているから』『ホント?助かるわ~』─。それから2日後、やはり券売機の前で聞いた会話。『千円分じゃちょっと足りねぇな~。でも、二千円分買う金ねぇんだよ。お前、半分払えよ』『ああ、いいよ』─。

 現象その1から分かることは、半年前と比べるとガソリン単価が1㍑10円以上も値上がりしたため、五千円分のプリカでも一度で使い切ってしまうケースが増えたということだ。車種や油種によっては、一万円プリカを買っても残高が残らないケースも出てきている。こちらとしては、プリカのリユースの頻度が上がり、コスト抑制につながるのだから喜ぶべきことなのだが、客のほうは、ガソリンがいかに高くなったかをひしひしと感じているに違いない。

 現象その2は、千円にも満たない小額給油が増えている事を物語っている。フルサービスのスタンドでは、小銭を数枚出して、「これで入るだけ、入れてもらえます?」なんて注文は少々気が引けるが、セルフスタンドでは気兼ねなくワンコイン給油ができるというわけだ。もちろんその背景には、ガソリンの高騰がある。しかし、この際、それでも良しとしなければなるまい。『ガソリンも高くなったし、この際、健康や環境のためにも自転車に乗ろうか』なんてことになったら、お手上げである。

 現象その3からは、ドライバーだけでなく、同乗者にもガソリン値上げの負担がじわじわと掛かってきていることを実感させる。免許がないから、車がないからと、知人や友人の車に乗せてもらう人は、それがタダではないことを以前にも増して意識すべきだろう。『最近ガソリンが値上がりして大変なんだよね~』とさりげなく“応分の負担”を打診されているのに気付かず、『ふ~ん、そうなの。それより、きょう暑いよね。エアコン入れていい?』なんてノー天気な事を言い返したりしていると、人間関係に亀裂を生じさせかねない。

 こうした現象からも、ガソリン価格の高騰がドライバーの購買動向に微妙な変化を生じさせていることが分かる。この状況が今後も続くとなると、ドライバーのイライラが募ってくることは確実である。以上、客足がいまだ回復しないセルフスタンド日進東からお伝えしました。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ