和田 信治
GS業界・セルフシステム
2006-07-17
毎度馬鹿馬鹿しい「セルフスタンド日進東劇場」。これまでは、駄々をこねたり、言いがかりをつけたりする困ったオヤジ達を紹介してきたが、今回はオバサンの登場だ。題して、「オバサン、勘違いする」の巻。
ある日のこと、中年女性客に、「ちょっと、カードが出ないわよ!」と怒気のこもった声で呼び出された。応対したスタッフのYに対し、そのオバサンは、一万円札を入れたのにボタンを押してもプリカが出てこないと訴えた。Yは、札詰まりでも起こしたのかと券売機の中を調べたのだが、一万円札は見当たらない。
「おかしいですね。お客様、確かに一万円札をお入れになったのですか?」
「わたしが嘘ついてるって言うの!?わたし急いでいるんだから、何とかしてよ!」
「わかりました。じゃあ、すぐに録画ビデオで確認いたしますので、少々お待ちください」
Yが防犯カメラの映像をチェックしている間も、オバサンは“いい加減にしてよ”とか“早くしてよ”とか文句を言い続けていたのだが、やがて信じられない映像を目のあたりにすることになったのだ!(ジャジャ~ン)
私の店には、販売室に二台の券売機を並べて置いてあるのだが、何と、オバサンは右側の券売機に一万円札を入れ、左側の券売機のボタンを押していたのである!これでプリカを買う事ができるのは、プリンセス・テンコーぐらいだろう。Yは状況を説明し、隣の券売機のボタンを押すと待ちかねたようにプリカが─。
女性客であれば、大抵は「あら、ゴメンなさ~い」と笑ってごまかすのだが、今回のオバサンは、あまりのバツの悪さに逆ギレし、“わたしは確かにこっちの券売機にお札を入れた”と言って譲らない。とにかく非はこちらにあるというわけだ。
「お客さん、そこまでおっしゃるのであればもう一度こちらの(札を入れていない方の)券売機を開けて調べます。もし、一万円札が見つからなければ警察を呼びます。言っておきますが、いままでお客さんが言ったことはすべて録音されていますからね」
「‥‥‥」
「どうなさいますか?」
「‥‥‥すみませんでした」
はじめから謝っておけば良いものを、つまらない意地を張るものだから、かかなくても良い恥をかくことになるのだ。それにしても、理不尽なオヤジ連中の対処法は心得ているつもりだが、オバサンの逆ギレには少々手を焼く。考えてみれば、家計を預かるオバサンたちにとって、この数ヶ月間のガソリン価格の上がりようは、まさに「冗談じゃないわよ」の世界である。もしかしたら、あのオバサンの正気を失わせたのも、日に日に募るガソリンスタンドへの怒りなのかもしれない。来月にはさらに3~5円値上がりしそうだというのだから、うっかりオバサン客に「コンチワ、毎日暑いですね~」なんて声をかけようものなら咬み付かれそうである。今後は、オバサンにはくれぐれもご用心を…。
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