セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.131『石油情報センター報告書』

GS業界・セルフシステム

2006-10-30

 財団法人 石油情報センターから「SSナウ2006」という小冊子が送られてきた。全国約48,000ヶ所の給油所に対して、経営状態に関するアンケート調査を実施した結果、約12,000ヶ所から回答があり(回答率約25㌫)、それを取りまとめたものだそうである。そう言えば、うちのスタンドにもアンケート用紙が届いていたような気がする。回答しなかったけど…。

 この調査結果で興味深いのは、やはり、セルフスタンドとフルスタンドとの比較だ。ガソリンの月間販売量はフル84㌔㍑に対して、セルフは250㌔㍑と約3倍となっている。とりわけ、元売直営セルフは356㌔㍑と群を抜いている。今後も元売のセルフ化・直営化の流れはますます加速するだろう。セルフ時代の到来は、元売が自らの手でシェアを拡大する道を開いたことになる。

 しかし、別のデータは、元売主導で展開されてきた日本のセルフスタンド経営が、いまだ成熟の域には達していないことを物語っている。それは、従業員数に関する調査結果から読み取れる。給油所タイプ別で見ると、フルスタンドが6.0人に対し、セルフスタンドは7.0人とフルを上回っている。セルフスタンドの最大の武器は、スタンド運営経費の7~8割を占める人件費を大幅に削減することによってローコスト・オペレーションを実現し、価格競争力を強化することにある。ところが、セルフがフルを上回る人員コストを抱えている実態は、多くのセルフスタンド(特に元売直営)が、重たい運営コストを抱え、厳しい経営状態にあることをうかがわせる。

 しかし、セルフスタンドもフルスタンドも、今後の事業展開はとの問いに対して、「サービスを充実させ集客及び顧客の固定化を図る」という答えが63㌫と圧倒的に多く、相変わらずヒト・モノ・カネをかけて現状を打破しようという発想が支配的だ。自分のお腹にぶら下がっているぜい肉を、脂肪とは認めず、筋肉質に変えようとしている、往生際の悪い中年オヤジと似た発想だ。その結果、「給油以外はフルサービス」などというへんてこりんなセルフスタンドがあちこちに出現している。コスト削減が相変わらず消極的な経営手法ととらえられているのだろうが、いつまでも“前向きに”幻想を追いかけていると、来年のいまごろには、毎年千件超のペースで消滅している給油所の仲間入りをすることにもなりかねない。

 「セルフサービス給油所への今後の取り組みは」との質問に対しては、全体の75㌫近くが「セルフへの進出は考えていない」と答えているが、これまでのセルフスタンドの経営手法では、あまりにも金がかかりすぎ、それを踏まえて「考えていない」と答えているのだろうか。

 一人のスタンド経営者は、元売から社有スタンドのセルフ化の提案を受けたのをきっかけに、それまで「考えていなかった」セルフ化を真剣に考えるようになった。結局、彼は元売の提案を蹴り、もう一件の自社スタンドの方をローコスト方式でセルフ化し、ガソリン販売量を改造前の10倍にまで伸ばした。「和田さんの“ローコストこそセルフの目的”という発想に出会わなかったら、いまごろ元売のセルフスタンドを運営させられて、“もうセルフはこりごり”ということになっていたでしょうね」とそのスタンド経営者は笑っていたが、まだまだ業界には、「セルフはカネがかかる」と信じ込んでいる人たちが多いようだ。今回の調査報告を眺めながら、「あぁ、まだまだ日本のセルフスタンドはこれからなんだなぁ~」と感じ入り、「いよいよこれからがオレの出番だ!」とひとり勝手に意気込んだ次第である。

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