セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.133『今井誓子という女』

GS業界・セルフシステム

2006-11-13

 油業報知新聞・名古屋支局が、開設50周年を迎えた。おめでとうございます。現在の支局長(と言っても、名古屋支局唯ひとりの記者)は、今井誓子(“誓う子”と書いて“ちかこ”と読む。素敵な名前だ)というオバ…いや、オネエサマである。年齢不詳。名古屋支局よりは少し若いのではなかろうか。

 今井さんは、2年ほど前に旅行雑誌の編集者から転進し、名古屋支局にやってきたのだが、明晰な頭脳と頑丈なふくらはぎをフルに働かせて、日々東海地方のガソリンスタンドにアポ無し突撃取材を敢行、毎週、様々なガソリンスタンドを「中部版」で紹介している。また、「ドライバーの目」と題して、一般ドライバーの視点からガソリンスタンドという商売について率直な筆致で論じてもいる。(私は、「ドライバーの目」なんてベタなタイトルじゃあなくて、「誓子のズバリ言うわよ!」にしろと言ったんですがね…)

 今井さんが赴任する以前から、私はこの「中部版」にこのコラムを連載していたので、彼女はわざわざ挨拶に来てくださった。

 「この業界で、女性記者なんて珍しいですね」

 「ええ、会社始まって以来の“暴挙”らしいです。(笑) ところで和田さん、わたし、石油業界のこと全然わからないんですけれど、いきなり一人で仕事任されて、大丈夫でしょうかね」

 「大丈夫ですよ。かえって長年この業界にいて、固定観念にとらわれちゃっている様な人よりも、ずっと面白い記事が書けるんじゃないかと期待していますよ」

 「これまで、何人かの方にご意見をうかがったんですが、そんなふうに言ってくださったの和田さんだけですよ。きのうも、ある会社の社長さんから、「この業界のことを理解して、まともな記事を書けるようになるまでには、何年もかかる」って言われちゃいました」

 「そんなこと言うのは、どうせ○□石油か、○△石油の社長でしょ。(笑) いいんですよ。あの人たちの言う“業界のこと”なんて理解しないほうがいいんです。これまでの常識や慣行はもう通用しなくなってきているんです。だから、あなたが思ったこと、感じたことをズバッと書いてもらったほうが面白いですよ。期待してますよ!」─。

 というわけで、今井さんは、私の無責任なアドバイスなどもあって、徒手空拳でこの業界に飛び込み、はや2年もの歳月が経ってしまったというわけだ。この間、幾度か雑談する機会があったのだが、彼女はその都度、「どうしてフルサービスなのに、セルフと同じ価格で売るんですかねぇ?」とか、「看板価格から何円も値引きするのはなぜなんですか?」とか、「セルフなのにフルよりコストがかかっているのっておかしくありません?」といった、素朴だが、道理にかなった質問を投げかけてくるのだ。なまじ業界のアカにまみれていない分だけ、この業界の矛盾点がよく見えるのだろう。これからも、その素直な感性を保ち続けてもらいたいものである。

 今井さんはまた、ローコスト・セルフシステムの良き理解者でもある。私のスタンドを観察し、「これまで私が行ったどのガソリンスタンドよりも、簡単に給油ができますねぇ」と言ってくださった。「でも、女性ドライバーの多くは、立ち寄ったSSで、安全点検などをきちんとやってもらいたいとも思ってるんです。もちろん、こちらの無知に付け込んで、必要のないものまで売りつけられるのは困りますけどね。和田さんのローコスト・セルフの対極にある、至れり尽くせりのフルサービスもあるといいんですけど…なかなか無いですねぇ、そういうお店は」─。

 まるで、温泉旅館のリポーターのような感覚で、セルフ、フルを問わず様々なガソリンスタンドを“味見”してまわっているようだ。これからも、女性ならではの視点で、読者を楽しませてもらいたいものである。今井さん、がんばってくださいね。

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