セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.137『セルフSS版開設に寄せて』

GS業界・セルフシステム

2006-12-11

 油業報知新聞に新しい企画が誕生した。『セルフSS版』である。これまでは,セルフもフルも一緒くたにして,地域別で編集していた慣行を破り,初めて“セルフ”というカテゴリーをくくりとして紙面を作るという斬新な試みにまずは賛辞を送りたい。私は常々,こういう企画があればいいなと思っていた。ガソリンスタンドの経営者が最も気になるのは,自分と同じ地域の同業者の動向である。しかし,たとえば洗車というカテゴリーに限定するなら,全国のガソリンスタンドがどのような取り組みをしているのか,広く情報を得たいと思っているのではないだろうか。

 セルフスタンドについても同じことが言える。増えた増えたと言っても,まだ全スタンド数の一割強しかないセルフスタンド。しかも,その大半は,元売が建設した採算性を度外視した大型店舗である。中小零細のスタンド経営者は,これからの時代にふさわしいセルフとは何か,試行と模索を続けている。全国の様々なセルフスタンドに関する情報は,セルフスタンドの経営者のみならず,これからセルフを計画している人にとっても貴重なものであるはずだ。

 まだ始まったばかりの『セルフSS版』だが,この画期的な企画が多くの読者に支持されることを願ってやまない。そこで,セルフスタンド経営者の端くれとして,また油業報知新聞の購読者の一人として,勝手な要望などをさせていただこうと思う。

 とにかく,東西南北,国内のありとあらゆるセルフスタンドを一件でも多く紹介してほしい。できれば,経営者やマネージャーの声も聞かせてほしい。利用客の評判や記者の感想なども掲載してほしい。一口でセルフシステムといっても,様々なタイプがある。とりわけ,どのような精算システムを導入しているのか,その機種や性能についての情報は,個人的には非常に関心がある。また,セルフスタンドを脅かす様々な犯罪の防止策なども是非教えてもらいたい。効果的なメンテナンスやクレンリネスの事例も貴重な情報といえる。油外販売は,セルフスタンドにおいても大きな研究課題であり,洗車や車検,板金・修理や中古車販売などの現状や,セルフならではのサイドビジネスの紹介などの記事は,多くの読者が興味深く読むことだろう。

 ほかにもまだまだ,いろいろな情報を取り上げることができるのだろうが,反対に取り上げてほしくない情報も幾つか述べたいと思う。まず,元売幹部などが語る“我が社のセルフ戦略”といった類のお手盛り記事。次に,“量より質”とか“共存共栄”などの毎度お決まりのコメントしか出てこない石商幹部へのインタビュー。さらに,一件役に立ちそうで実のところほとんど役に立っていない石油情報センター発表の種々の統計データ。『セルフSS版』は,現場本位の情報をリアルタイムで提供する場であってほしいと願っている。

 というわけで,油業報知新聞社の株主でもないくせに,好き勝手なことを書いたが,それもこれも,この新しい企画が成功することを願うがゆえである。これまでは,どちらかといえばセルフスタンドは市況混乱の元凶であり,採算経営を脅かす侵略者のような扱いを受けてきたように思う。あくまでフルサービスが主流であり,セルフは傍流という見方が支配的だった業界にあって,セルフスタンドのことだけを取り上げる紙面を設けたことは,結構思い切った企画だと思う。これを契機に,ガソリンスタンド業界の主流はセルフであるとの認識が広まると同時に,ますます厳しさを増すスタンド業界にあって,セルフスタンドをどのように発展させてゆくべきかという研究がより活発化することを期待したい。

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