セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.143『何様だ?』

オピニオン

2007-01-29

 私の店はプリペイドカード方式のセルフスタンドだが、5年ほど前にシステムのバージョンアップをした際、プリカのエンコードを切り替えた。いまでも、忘れたころに旧エンコードのプリカを持って来店される方がおり、その都度残金分を換金している。

 今年の正月にも、「おい、このカード、機械(読取機)に入れても出てきちゃうぞ!」と怒る年配の客に呼ばれてカードを見てみれば、昔懐かしい旧プリカ。「このあいだ買ったばっかりなのに」と文句を言う客に、「お客さん、これ、少なくとも5年前には販売中止しているカードですけど…」と説明するが、いや、「このあいだ」だと言い張って、認めようとしない。まあいいさ、あんたには“十年一日の如く”感じるんだろうよ…。

 ところで、5年前にどんなバージョンアップをしたかといえば、それまで使用済みプリカはすべて廃棄していたのだが、新たに開発されたカードリーダーを搭載し、プログラムを改造して、何回でも再利用できるようにしたのだ。これによって、カードのランニングコストは半分以下に圧縮された。いまも“プリカ方式はコストがかかる”と吹聴する輩がいるが、メンテナンスやセキュリティのコストも含めると、プリカ方式は他の精算方式と比べてはるかにコスト負担が少ない。私は、だれが何と言おうと、セルフスタンドにはプリカ方式をお勧めしたい。

 さて、先日来た中年女性の客は、旧五千円プリカを3枚も持ってやってきた。換金してくれというのだ。しかし、カードを見ると、3枚とも、度数目盛りの“ゼロ”の箇所に穴が開いている。つまり、残金ゼロ円の使用済みカードなのだ。バージョンアップ後は、使用済みカードはすべて読取機に回収するようになっているが、それ以前はすべてのカードを吐出していたため、おそらくそれを集めて持ってきたのだろう。

 「お客さん、これ見てくださいよ。ゼロのところに穴が開いているから、これは使用済みのカードですよ」

 「そんなはずないわよ。だって、使用済みのカードは返ってこないじゃないの。これはまだ使えるカードってことじゃない」

 「いえ、ですからこれは、いまから5年前に使用されていたもので、いまのものとは違うんですよ。とにかく、ゼロのところに穴が開いているんですから…」

 「これは、まだ使用金額がゼロっていうことで穴が開いているんじゃないの?(勝手な解釈するなよ)わたし使った覚えないわよ。(そりゃ5年以上前だもんな)これ、換金してちょうだいよ!(だから残金ゼロだって!)」

 この客が、本当に勘違いしていただけなのか、それとも、使用済みプリカと分かっていて幾らかでもせしめようとしていたのか分からずじまいだったが(恐らく後者であろう)、とにかく要求には応じられない、納得できないのなら法的手段をお取りくださいと言って追い払った。ほかにも、よそのスタンドのプリカを突っ込んでおいて、給油ができんと逆ギレして騒いだ客もいたし、よそのスタンドでもらった割引券を出してきて、間違いなくこの店でもらったものだと言い張る客もいた。もちろんどれも、100㌫客の側の勘違いなのだが、この手の客の多くは、自分の間違いに気付かされても、もはや引っ込みがつかなくなっていて、大抵最後にこう主張するのだ。「オレ(ワタシ)は客だぞ!」と─。

 「お客様は神様です」と言う人もいるが、神様は過ちを犯したりしないはずだ。ならば「お客様は王様だ」と言う人もいるが、私は理不尽な要求をする人間をどうして王様扱いしなければならないのか分からない。意図的かどうかに関わらず、道理を欠いた要求を迫る客に対しては、「お客様は何様だ?」と問い返したくなる。

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