セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.168『日進市値下がり地獄』

GS業界・セルフシステム

2007-07-30

 セルフスタンドが乱立する愛知県・日進市では、7月中、ガソリン価格が上がるどころか下がってしまった。137円で始まったレギュラー価格が中旬には134円、下旬には131円になってしまった。しかもこれは、いわゆる「一般価格」というやつで、実売価格はここから3~4円引きだから、7月下旬には日進市のガソリン市況は128~7円まで陥没してしまったのだ。ニュースでは、全国のガソリン価格が140円台になったと報じているというのに、一体どないなっとんねん!?

 なぜこんな事になったのか、よくわからないのだが、恐らくどの店も思ったようにガソリンが売れず、値下げしたのだろう。6月には、新たにセルフスタンドがオープンしており、その影響もあったのかもしれない。いずれにせよ、自分の店だけが安く売れるのならともかく、一軒が下げればたちまち周辺がその価格に追従するのだから、大した増販効果は見込めないと思うのだが…。

 では、一体どんな会社が値下げ合戦を繰り広げているかといえば、バックに元売会社がデーンと付いている系列子会社や大手代理店ばかりである。まさか、まさか、仕入れ価格を下回るような価格で売るはずはなかろうから、税込み128~7円で売っても損しない価格で仕入れていたということになる。高騰著しい業転ガソリンを仕入れている私としては、うらやまし~いと感じると同時に、もったいな~いと叫びたくもなる。もし、その仕入れ価格でせめて月初の137円で売っておれば、そこそこのもうけが出たであろうに…。

 一方、そのような市況の中で、我がセルフスタンド日進東は、136円から値上げもできず、気が付けば日進市で最も高い価格看板を掲げる店となってしまっていた。とりわけ、下旬から周りが120円台になってしまった時は、従業員と顔を見合わせて“あしたからお客さん来るかな~”と心配していたのだが、ありがたいことに、ちゃんとお客様は来てくださった。

 最大格差が10円近くもある、しかも、日進市内のセルフスタンドの中で最も小さい私の店に、普段と変わらず客が来るというのは一体どういうことなのだろう。これまたよくわからない。しかし、この状況がいつまでも続くようであれば、やっぱり厳しい。ガソリンスタンドは何と言っても価格が決め手だからだ。それに、ガソリンを安く売ることは悪いことではない。問題は、それが“正常な”安売りかどうかだ。

 7月に日進市で起きたことは、明らかに常軌を逸していたと思う。ついこの間まで、業転価格の高騰は市況安定につながる事であり、歓迎すべきことだと言っていた人たちに、この状況を説明してもらいたいものだ。確かにひと昔前は、業転ガソリンとローコストを武器に、独立系スタンドが市況を破壊してきた時代があった。いまでも、“安売り中毒患者”のような人たちはいるが、それでも彼らは、自分の仕入れた油が幾らの物で、それを売るために幾らのコストをかけているかをわかってやっている。元売の事後調整を当てにしている会社とは、レベルが違う。今日では、むしろ独立系スタンドの方が、コスト抑制を続けながら、適正価格を維持しようとしているように思う。

 一方、元売直営セルフは、相変わらず利益なき量販志向を推し進めている。来月はまたまた大幅な値上げだが、果たして転嫁できるだろうか。かつて「ごん太」と呼んで非難していた安売り量販店に、元売自らがなってしまったというこの異常事態。はたして8月はどうなりますやら。我がセルフスタンド日進東の運命やいかに─。

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