セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.169『8月値上げスタート』

GS業界・セルフシステム

2007-08-06

 先週に続き、愛知県・日進市の市況についてお伝えしよう。7月中下がり続けたガソリン価格が、8月1日の昼前にはみ~んな141円の看板となってしまった。前日からいきなり7~10円もの値上げを敢行したことになる。テレビや新聞などで報じられていたとはいえ、一気にこれだけの値上げをすると、客からの反発は避けられまい。

 しかし、看板価格が141円になったと言っても、実際に141円でガソリンを販売しているセルフスタンドは、日進市には1件もない。どの店も、そこから3~5円引きとしているので、実売は136~138円といったところだ。エクソン・モービルの8月の標準仕切り価格が128円ぐらいと聞いているので、それを規準とするなら1.5~3.5円ぐらいしかもうけがないということになる。仮にそれで500キロ㍑販売したとしても、粗利は200万円にも届かない。せっかく大幅値上げをしたのに、それが収益改善にまったくつながらないとは、つくづく値上げが下手な業界なのだなぁと思う。

 いや、むしろ客は「どうせしばらくしたらズルズルと下がってくるだろう」と見越しているのではないだろうか。事実、業転ガソリンは軟化傾向にある。この記事が掲載されるころには、どこかのスタンドが抜け駆け値下げをしたのを機に市況が崩壊するという、日進市恒例の「セルフスタンド・チキンレース大会」の火ぶたが切って落とされているかもしれない。そうなれば、苦労して値上げしても、元の木阿弥。日進市では、こんなことをもう何年も繰り返しておるのです。笑ってやってくだされい。

 ところで、お前の店は幾らにしたのかと言うと、前月より2円上げて138円です。本当は140円ぐらいにしたかったのだが、前述の通り、どの店も実売が136~8円のうえに、メールだ、クーポンだ、クレジットだと、三重、四重の価格設定を行なっているので、138円とするのが精一杯と判断した。依然として地域最高値水準である。

 セルフといえども、もはや販売量を闇雲に追い求める時代は終わりつつある。少子化・省エネ化によって縮小が進む市場にあっては、これまで以上に採算性を念頭において価格設定をしなければならない。

 とはいえ、ガソリンスタンドはやっぱり価格が勝負。採算販売といっても、かつてのように、15円ものマージンを追い求めるような次元の話ではなく、現実的な見方の中で行なわなければならない。すなわち、(1)10銭でも安く仕入れること、(2)1円でも販管費を削ること、(3)1円でも多くの油外収益をあげること─このうちの少なくとも2つの分野で努力をしていない限り、採算性を語る資格はないと思う。何もしないで、元売の事後調整頼みなんてスタンドは、さっさと潰れれば良い。

 せめて(2)だけでも早急に取り組むべきである。系列店であろうと、独立店であろうと、仕入れ価格で圧倒的に優位に立つことは今後も難しい。油外収益を上げるには時間と手間がかかり過ぎる。しかし、販管費を削ることは、経営者の意志さえあれば、日本中どこのスタンドでも明日から実施でき、しかも、すぐに数字となって表われるものなのだ。

 というわけで、環境が厳しくなればなるほど、ローコスト経営の成果が問われる。我がセルフスタンド日進東もここが正念場。(毎月正念場だという説もある)セルフ銀座・日進市で、このちっぽけなスタンドが一日でも長く営業を続ければ、それだけローコスト・セルフシステムの優位性を高めることができるのだ!なんて、何だか硫黄島の守備隊長みたいになってきたな…。(笑)

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