セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.185『今年の流行語』

オピニオン

2007-12-03

 今年もあと1ヶ月となった。毎年この時期には、新語や流行語で一年の出来事を振り返るイベントが行なわれる。ノミネートされた幾つかの語を使って、ガソリンスタンド業界の1年を振り返ってみたい─。

 まずは、『KY』。Kは「空気」、Yは「読めない」の略。NHKが全国放送で「あすからレギュラーガソリンが何円になります」と宣伝し、国民もその報道で月末に駆け込み給油に殺到。ところが、翌日から即値上げすれば良いものを、疑心暗鬼が蔓延した業界は、おっかなびっくり。やっと値上げしても、販売量がちょっと鈍るとすぐに値下げ。空前の原油高だというのに何で値下げするんだ!? 世の中の空気が読めないまま利益を吐き出し続ける、まさにKY業界。これは『どげんかせんといかん! 』(東国原英夫・宮崎県知事)

 今年のヒット曲といえば、何といっても『おしりかじり虫』。原油高を背景に好決算をあげる元売会社はさしずめ「粗利かじり虫」。『おしりかじり虫』は、おしりをかじるのが大好きな妖精で、かじられた人は元気になるのだが、元売に粗利をかじられている系列店は、そういうわけには行かない。このままでは、元売社員とスタンド従業員との『格差』は広がるばかりだ。

 今年は、元売の系列店に対する支配力が一段と強まったことを実感させる一年であった。商品代担保のさらなる積み増しを迫り、灯油については出荷枠を設定し、配送についても完全自動化を推進。言うことを聞かない店には、高値で仕切る─こういうのを、相撲界では『かわいがり』というらしい。日本人的なウェットな取引関係は払拭され、コントラクト(契約)だの、コンプライアンス(服従)だの、コントロール(統制)だのと、“コン、コン”と横文字で言ってくるから、思わず『欧米か!』と突っ込んだら、相手はまさしく欧米の会社だったので全然笑えない。厚生労働大臣が女性を『産む機械』と発言して物議をかもしたが、元売にとってガソリンスタンドは「売る機械」といったところか。

 ガソリンスタンド業界で「IKKO」と言えば、押しも押されもしない大手ガソリンスタンド・チェーン会社の商標だが、世間一般では『どんだけぇ~』のオバサン(?)タレントのことだ。“どんだけぇ~”は「それほどでもないだろう」という意味で反語的に使われ、嫌味や非難などが含まれている。今年も、セルフスタンドでの油外販売強化のために、いろいろなシステムが開発されたり、数多くの啓発プログラムが開催されたりしたが、どれも決定打とはならず、まさに『どんだけぇ~』のものであった。大体、油外収益アップの特効薬などなく、いつの時代も販売員の声掛けという“反復運動”にかかっている。ならばいっそのこと、根性を注入するために、スタッフ訓練に『ビリーズブートキャンプ』でも導入したらどうか。目標達成した時のキメぜりふはもちろん『ビクトリー!』

 よく「和田さん、これからこの業界どうなっちゃうんだろうねぇ」と尋ねられることがある。そんなことが分かるなら、私はもっと利口に立ち回って、いまごろ一財産築いている。小さなセルフスタンドの経営者にとっては、世界の原油市場の先行きや、バイオ燃料や燃料電池の普及速度について問い質されたところで、沢尻エリカ同様『別に…』としか答えようがない。多くのスタンド経営者にとっては、10年後のことよりも、あすのことを考えるのが精一杯なのではないか。とにかく私は、来年以降も、ローコスト・セルフこそ、厳しい時代を生き残ってゆくための秘訣だと説き続けるつもりだ。相変わらず一般受けはしないが『でも、そんなの関係ネェ!』。愚直に粘り強く訴えてゆくしか、私には能がないのだ。

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