セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.191『暫定値上げ』

政治・経済

2008-01-21

 今月18日に召集された通常国会は、「ガソリン国会」などと呼ばれている。ガソリン税53.8円の内、30年前に“暫定分”として課税した25円が、ことし3月いっぱいで期限切れになるのを受けて、民主党は暫定分を撤廃、自民・公明党は継続を主張している。

 暫定税率を撤廃すべきか、継続すべきかの是非をここで問うつもりはない。それよりも、想定される状況にいかに対処したらよいかを考えておかねばなるまい。もし、前回の新テロ対策特措法のように、いったんは期限切れとなったあと、衆院で与党3分の2以上の再可決により再び税率復活となると、3月末から4月中旬にかけて、日本のガソリン価格は乱高下することになる。そうなると、3月に入ると日本の大半のドライバーは、数量指定でチビチビとしか給油しなくなるうえ、月末が近づくと、だれもガソリンスタンドに行かなくなるのではないか。だって翌月からは、日本全国で『25円引きキャンペーン』が開催されるのだから。3月31日には“来店客ゼロ”になるスタンドもあるかもしれない。

 しかし、我々としては4月1日からいきなり25円引きで売れる訳ではない。前月分の“高いガソリン”が幾らかタンクに残っているからだ。仮に、3月中にすべて売り切ったとしても、4月1日にタンクローリーがちゃんと運んできてくれるかどうか。おそらく全国の油槽所は注文殺到で、てんてこ舞いとなるに違いない。元売の自動配送で運んでもらっているスタンドなどはどうなるのかしら。

 前月分の油を売り切ったスタンドから値下げをするといっても、大手や過激派が逆ザヤ覚悟で4月1日から25円下げて売ろうものなら、周辺のスタンドも追随せざるを得ないだろう。売り切るまで下げないと頑張ったところで、となりより25円も高いガソリンを誰も買いに来ないから、いつまで経っても売り切れないだろう。結局、泣く泣く下げるしかない。

 仮に、それまで10円の粗利があっても15円の損失が生じる。それを油外収益でカバーできるスタンドは多くないだろう。では、どうしたらよいか。ここはひとつ、全国のガソリンスタンドが一致団結して3月中に販売価格を25円値上げするしかない。翌月の値下げ分を見越して“暫定値上げ”をするのである。どうせ買い控えられるのだから、この際、思いっきり値上げしておけばいいんじゃないか? そうすれば、その後、また税率が復活したとしても、今度はまるまる25円値上げしなくてすむことになる。(その分かぶることになるんだけれど)

 でも、やっぱり無理かな。そもそもそんな値上げを、お上(公取)が許してくれないだろうし、仮に許されたとしても、この業界が、一糸乱れず、足並みそろえて自衛策を取るなどという利口なことができるわけがない。これまで、ただでさえ少ないマージンをさらに下げ、数量ばかりを追いかけてきたスタンド業界に、降って沸いたような「ガソリン国会」騒動。結局、4月中は、個々のスタンドが、タンク在庫や周囲の販売価格とにらめっこしながら対応してゆかざるを得ないだろう。

 「仕入れはまだ高いけれど、売値は下げなきゃ」「仕入れは下がったけれど、売値は下げずに」「仕入れが上がったから、売値も上げなくちゃ」なんてやっていると、まるでナンセンストリオの手旗コントだ。(古い!)「仕入れ下げて、売値下げて、仕入れ下げないで、売値下げない!?」

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