セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.195『守りを固める』

GS業界・セルフシステム

2008-02-18

 今月11日午前3時50分ごろ、千葉県市川市のセルフスタンドに黒ずくめの4人組が乗用車で乗り付け、一人がバールのような物で事務所にいた男性従業員(68)を脅している間に、他の三人が計量機3台と釣り銭機1台を次々に壊し、現金約100万円を奪って逃走した。賊は事務所へは押し入ることはなく、従業員に怪我はなかった。わずか2分ほどの間の犯行だったというから、手馴れた者たちによる仕業と思われる

 この手の事件がこれからますます増えることだろう。特に深夜、従業員が一人で店番をしていることの多い24時間営業のセルフスタンドが狙われやすい。その中でも、アイランド精算方式のシステムを採用している店舗が最も危険だ。今回は、従業員が大人しくしていたために、金銭的な損害だけで済んだことが、不幸中の幸いであった。カンフーの達人でもない限り、外に飛び出してゆくのは自殺行為である。

 セルフスタンドは当初、給油後に店内で支払いをする「後払い方式」が主流だったが、やがて入れ逃げ対策などから、屋外精算機による「先払い方式」が普及し、今日に至っている。私は、どちらの方式もセキュリティの面で脆弱であるとして、このコラムで何度も指摘してきた。そして、従業員が客と接触することなく、かつ、大量の現金を入れた機器を屋外に置かずに精算ができるプリカ方式が、現在考え得る最も防犯性の高いシステムであると訴えてきたのだが、残念ながら、多くのセルフスタンドは、客の利便性を過度に重視して、アイランド精算方式を採用している。したがって、市川市のような事件は今後も後を絶たないだろう。

 とはいえ、手をこまぬいているわけにもいかない。そこで、幾つかダメもとで提案をしてみたい。まずは、従業員の安全性を確保することが第一だ。現行の消防法では、監視室からフィールドが目視できるようにせよと定めているが、これは裏を返せば、犯罪者から事務所の様子が丸見えになっているということになる。恐らく賊は、犯行に及ぶ前に幾度か下見に来ているはずだから、日本のセルフスタンドは、従業員の人数や防犯システムの有無などについて、彼奴らにガラス張り公開していることになる。実際のところ、フィールドの様子は、目視しているよりモニター画像を見ているほうがはるかに分かりやすい。それで、いまの消防法の規定を改め、監視室を外から見えない所に設け、遠隔性を強化することによって、従業員を守ると同時に、賊を牽制することができるようにすべきだと思う。

 セルフスタンドにおいては、各アイランドに泡消化剤の噴射口の設置が義務付けられている。しかし、この装置を使うようなことは滅多にない。そこで、消化剤に、カラーボールなどに詰まっている着色材のようなものを加えて、賊がアイランドで“仕事”を始めたら即座に噴射できるようにしてはどうだろうか。

 強盗がやってくるのは、大抵深夜である。ならば、その時間帯に精算機の現金を空っぽにしておけば良いのではないか。そんなこと無理だって? 深夜はクレジットカードによる精算のみとすれば良いのだ。その代わり、深夜時間帯は価格の大幅な割引などを行なって、キャッシュレス給油を促進させるのだ。日ごろから、セルフシステムにはクレジット機能が不可欠だと主張しているスタンド経営者の方々には、それぐらいのことをやってもらいたいものである。そうでなければ、高い金を払ってクレジット機能搭載の精算機を置いた意味がないではないか。

 ─というわけで、何だか、消防法やクレジット信奉者を皮肉るようなことを書いてしまったが、自分のスタンドがいつ犯罪者に襲われるかもしれないのだから、セキュリティのために様々な知恵を絞らねばならないことは確かだ。しかも、なるべくコストをかけずに。そうすると結局、プリカ精算方式にすることが一番安全だということになるのだが。

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