セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.196『スタッフ教育』

GS業界・セルフシステム

2008-02-25

 私の店の近くに、また1ヶ所セルフスタンドが改装オープンした。オープニング・イベントは11日間に及び、来店客にはもれなくティッシュボックス5箱をプレゼントというもので、私もティッシュ欲しさに行ってみた。平日のうえに天気も悪かったため、客の入りは悪かったが、イベントスタッフが5~6人出て、旗を振ったり、誘導したり、POSの操作方法を教えたりしていた。

 私は車から降りると、近づいてくるスタッフに、「やり方は分かるからいいよ」と答え、計量機のパネルを操作し、給油を開始。「他社のセルフは操作が面倒くせぇなー」なんて思いながら給油をしていると、バインダーを手にした別の女性スタッフが近づいてきた。そう、クレジットカードの勧誘員である。実際、オープニング・イベントの成否は、期間中にどれだけ売れたかよりも、どれだけクレジット会員を集められたかにかかっていると言っても過言ではない。

 女性スタッフは、クレジット会員になるといかに便利でおトクかを一通り説明してくれたのだが、あまり上手じゃなかったな。まず、声量が足らない。屋外なので、もう少し大きな声で説明しないと聞き取れない。次に、流ちょうさに欠けていた。「えっと~」とか「あのぉ~」とか言いながら説明されると、こちらの関心は薄れていってしまう。そして顔の表情。寒い屋外で何時間も働いているとはいえ、もう少し明るい表情で接してもらいたかった。

 これらは、今回の女性スタッフに限らず、あちこちのガソリンスタンドに行った際、会員カードや油外商品を勧めに来たスタッフの多くに見られる傾向である。販売・勧誘スタッフには、十分なロールプレイングをほどこし、ハキハキ、スラスラ、ニコニコと説明ができるように訓練する必要があると思う。

 さらに、説明内容は30秒以内の簡潔なものであること。あれこれ特典を説明されても、かえって分かりづらく、逆効果だと思う。前述の店のイベント期間中に私の店に給油に来た男性客は、「いま、オープンしたばかりのスタンドに行ってきたんだけど、給油の仕方を教えてくれと頼んだら、ナントカカードを作るとどうのこうのとゴチャゴチャ説明しやがるから、“もうええ!”と言って出てきちまった」と言っていた。せっかく、いろいろ説明しても、客の耳には「どうのこうの」とか「ゴチャゴチャ」としか聞こえないとすれば悲しい。効果的な説明は、常に簡潔・明快・正確でなければならない。

 とまあ、よそのスタンドのスタッフのことを、あれこれとエラそうに批評したが、自分の店のスタッフはどうなんだと問われれば、販売も勧誘もしていないので、その手の教育・訓練は何もしていない。ただし、給油の仕方を教えて欲しいと呼ばれた場合には、愛想よく、はっきりとした口調で「まず、店内でプリペードカードをお求めください」とだけ言って、案内することにしている。プリカさえ買ってもらえば、客は逃げては行かないから、読取機や計量機の操作方法の説明は、そのあとからゆっくり、ていねいにすればよい。そして、一度説明すれば、よほど物覚えの悪い人以外は、次回からはせっせと一人で給油している。プリカ方式は、客にとって使いやすいシステムであるだけでなく、スタッフにとっても扱いやすいシステムなのである。

 前述のセルフスタンドは、イベント後も、オペレーター以外に、常に二人のスタッフがフィールドで防人(さきもり)のように待機しているが、誘導や説明などの“無料サービス”を行なうためだけに彼らを雇っているとすれば、実に無駄なことである。とはいえ、カード会員をガンガン獲得したり、油外商品をバリバリ販売するようなスタッフを育てるには、さらに多くの時間と費用がかかる。効率化を追求するはずのセルフスタンドの多くで、まだまだ非効率なことが行なわれているように思えてならない。

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