セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.202『今度は値上げ…できますか?』

GS業界・セルフシステム

2008-04-07

 4月1日午前零時過ぎに、我がセルフスタンド日進東もレギュラーガソリンを123円に値下げした。中部地区の業転ガソリン価格の指標となる中川物産が8円近い大幅な値上げを公表したため、当初考えていた価格よりも高めに設定した。それでも、まあまあの価格設定だろうと思っていたが、帰宅の道すがら、日進市内の主だったセルフスタンドの看板を見て回ったら、ほとんどが120円になっていた。そして今月最初の週末には118円に。ウチ以外のスタンドは仕入値上げがなかったのか、それとも税金が30円ぐらい下がったのか─。

 タンクに残っている前月のガソリンを安値で放出するだけでも結構な痛手だというのに、値上げ分をまったく計算せずに丸々25円値下げし、さらにまた値下げするとは何とも太っ腹な業界ですな。

 それにしても、ガソリンスタンドの経営者や店長が、これほど全国ニュースで露出したことが近年あっただろうか。「ウチは損してでもお客様の期待にこたえてゆきます!」と得意げな表情で答える店長さんが出てきたかと思えば、「ウチはすぐには下げられません。お客様によく説明してご理解していただくつもりです」と答えていた社長さんが、1日の朝、近所のスタンドが下げているのを確認すると、あわてて看板価格を値下げしている様子も報じられた。また、値下げ後に近隣の店の偵察から戻った店長が、「下げすぎちゃいました」と苦笑しながら値上げしている場面も見た。こんなドタバタ劇を見ながら、人々はテレビの前で、私たちの業界にどんな印象を抱いただろうか。

 さて、問題の焦点は早くも月末に向けられている。ご存知のとおり、政府・与党は衆議院でいわゆる「60日ルール」に則って、今月29日に暫定税率を復活させようとしている。いまのところ確実視されてはいるが、直前に行なわれる衆議院の補欠選挙の結果如何によってはどう転ぶかわからないという見方もある。

 いくら「道路が必要だ、財源が足りない」と政府が言っても、昨今の報道で、税金や年金の無駄遣いがどんどん明るみに出ている現状では、再びガソリン価格を元に戻すのは、国民から相当反感を買うのではないかと思われる。いまでさえ低い内閣支持率が、一段と下がる可能性もある。ガソリンの価格が、一国の政治体制に影響を及ぼすほどのものになろうとは、つい数ヶ月前までは想像できなかったことである。

 仮に、再び税率が戻るとしても、先月中「25円下がる」と“宣伝”してくれたマスコミは、今度は、ガソリンスタンドのタンクには、4月中に仕入れた安いガソリンが“埋蔵油”としてまだ残っている、とまたまた吹聴することだろう。そうなれば、行楽シーズン真っ只中に即値上げをするガソリンスタンドには、非難の目が向けられるに違いない。

 ところで、4月初旬の損を5月初旬の値上げで取り戻そうなんて考えているスタンド経営者がいるなら、いまのうちにあきらめた方が良いと思う。客が「4月は無理して値下げしてくれたんだから、仕方がないよね」などと寛容に受け入れてくれるなどと考えているとすれば、甘い。そうでなくても、他店よりも1時間でも長く安売りを続けようとするスタンドが、どこのムラにも必ず1軒やそこらはいるはずだから、来月は、4月1日のドタバタ騒ぎの“逆バージョン”が全国各地で展開されることになるだろう。「一体我々は何をやっているんだろう」と自問自答する日々がまだしばらく続きそうだ。

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