セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.216『価格看板の改造』

GS業界・セルフシステム

2008-07-14

 長崎県の五島列島では、今月に入りレギュラーガソリンの価格が200円を突破したとのことだ。離島ゆえに運送コストもかかるうえ、販売量も限られているとあって、全国一の高値となったのだろう。しかし、原油価格の高騰がとどまるところを知らない現状では、早晩本土においても200円ガソリンが出現する日も近いだろう。そこで問題になるのが、価格看板の数字である。

 最近、巷でよく見かける電光掲示方式の価格看板は、百の位が「1」しか表示できないタイプのものが大半であるため、改修が必要とのことだ。とりわけ、サインポールに取り付けられている価格看板は元売各社の責任において改修しなければならない。サインポールは、系列店に「ショー・ザ・フラッグ」を求める元売のシンボルのような存在といえる。それゆえ、元売の威信をかけて各社「数億円規模」の改修工事に着手するとのことだ。

 何となく、かつてのパソコンの2000年問題を思い出させるようなドタバタ騒ぎだが、コスモ石油や昭和シェル石油は、系列スタンドの電光掲示版を改修するにあたり、百の位の発光ダイオードを交換して、「999円」まで表示できるようにするという。ちなみに、灯油1缶あたりの価格看板も「9999円」まで表示できるようにするそうだ。何だか、金のかけるところを間違っているような気がしますがね…。

 私の店で使っている価格看板は、3桁の数字をそれぞれ日めくり方式で変えるタイプのものなのだが、百の位の心配をする前に、十の位が「5」までしかないことが判明したため、ホームセンターでプラスチックの板とカッテイングシートを買ってきて、「6」から「9」までの数字を取り付けた次第である。もちろん、「999円」まで対応できるほど“先を見据えた”改造はしていないが、費用は数千円で済んだ。

 看板の改造をしながらずいぶん高くなったものだなと改めて感じたのだが、上がったのは仕入れ価格とそれに伴う消費税の額であり、我々のマージンはといえばさっぱり上がらない。その結果、価格に占める利益率は下降する一方である。この前まで20キロローリーで200万円ほどだったガソリンが、いまでは300万円を越える。しかし得られる収益はほとんど変わらないということは、いかにリスクが増大したかということである。

 単価が上がることによって増大する別のリスクはクレジットカードの手数料だ。価格に占める手数料額は元売各社によってバラつきはあるが、大体1パーセントぐらいで、180円のガソリンなら1.8円となる。バカにならん額だ。また、スタンド独自で導入しているポイント制度も、例えば、1000円お買い上げごとに1ポイントなどというシステムだと、昨今はみるみるうちにポイントがたまっていってしまう。プリカの割引きも、率で設定しているところは改定を迫られている。利益率は下がり、販促のコストは重たくなってゆくという悲惨な状況だ。

 しかし、それでもまだ我々はマシなほうかもしれない。燃料費の高騰で、漁に出ることもままならない漁師さんたちからすれば、価格看板の数字のことで騒いでいるスタンド業界の連中は不謹慎極まりないと言えるだろう。原材料の上昇分を価格に転嫁できないまま倒産に追い込まれている企業が増加している中で、価格をひょいひょいと上げ下げしているガソリンスタンドは、ずいぶん気楽な稼業にみられていることだろう。したがって、これからの価格看板に関して早急にとるべき対策は、表示板の改造なんかではなく、むしろ、需要家たちの怒りのキックを受けても壊れないような防護をほどこす事の方が先決なのではなかろうか。

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