セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.226『仕切りと立会い』

エンタメ・スポーツ

2008-09-22

 不祥事が続いた日本相撲協会は北の湖理事長が辞任、代わって就任した武蔵川理事長は土俵上での綱紀粛正に着手し、立会いの際しっかり両手をつくことを徹底するよう異例の訓辞を行なった。果たせるかな秋場所は仕切り直しが続出、新理事長のカミナリが連日落ち、別の意味で緊張感あふれる場所となっているという。“フライング相撲”の代表力士・朝青龍は、視聴者からの厳しい視線を受けすっかり調子が狂ってしまっている。このコラムが紙面に載るころには引退しているかも…。

 来月から、業界シェア・トップの新日本石油が、特約店に対する仕切り価格を製品マーケットに連動させ、毎週改定するという。これに伴い特約店に対する仕切り価格も統一ルールで決定されるらしい。出光興産もこれに追従すると見られ、これまで良くも悪くも“日本的商習慣”を維持してきた民族系石油元売が、特約店政策を大きく変換させようとしている。つまり、横綱だろうが平幕だろうが、同じ土俵でしっかり両手をついて相撲を取れということだ。

 それにしても、いち早く週毎改定を実施したエクソン・モービルと比べ、両社とも系列特約店の掛売り比率は高いはずだし、サブ店も多い。特に多くのサブ店を傘下に置いている特約店は、特価がなくなる今回の“新ルール”にどう対応するのだろうか。そもそも、両社とも本当にこのルールを徹底させることができるのだろうか。

 朝青龍は4日目の稀勢の里戦と7日目の栃乃洋戦で、それぞれ左手の手つきが不十分ともみえる立会いを見せたが、いずれも貴乃花審判長がこれを止めなかったことに武蔵川理事長は「バラつきがあってはならない」と苦言を呈した。朝青龍と貴乃花という角界の大物二人をまとめて叱りつけた新理事長に“本気”を見た。さて、一方の元売は特約店の規模や業暦や内情などに応じて斟酌することなく土俵の秩序を構築することができるのだろうか。

 そんなことはノンブランドのセルフスタンドの経営者の私がとやかく言うことではないかもしれない。しかし私は、新価格制度が浸透すれば仕切り価格の弾力性はなくなり、系列から離脱する特約店が少なからず出るのではないかと予測している。とりわけサブ店の多くは仕入先から見捨てられ、流動化する可能性が高いとみる。そうなれば結果的にガソリンスタンドのノンブランド化が加速するのではないだろうか。ノンブランド化はすなわちセルフ化の道へとつながる。それも、元売には真似のできないローコストセルフへの転換が可能となる。というわけで『風が吹けば桶屋が儲かる』じゃないが、今回の出来事は我が社にとってはビジネスチャンスとなるかもしれない…。

 『そんな理屈は零細店のたわ言。ウチは“横綱”だから特別な“仕切り”があるから大丈夫』と考えている大手特約店の経営者は、これまでどおりの立会いで立ってみれば良かろう。いままでは何も物言いをつけなかった元売から“待った”がかかり、ちゃんと両手をついて立てと言われてからあわてても遅いのだ。コスト競争力に勝る小兵力士が鋭くふところにもぐりこんできたと思ったらあっという間に上手を取られ、一気に土俵際に追い込まれてしまうことになるだろう。

 増販インセンティブのような“ドーピング剤”もこれから先はもう注入されないだろう。元売会社にそんな余裕はない。北の湖理事長の部屋の力士から薬物の陽性反応が出たように、石連会長の会社から不当廉売で訴えられる店が出ているというのが今日までの現状だが、今回の新価格体系の導入を機に、公正なルールのもとで販売競争を行なってもらいたいものだ。そのうえで、我々独立系セルフスタンドもいま一度、ふんどしを締め直してこの新たな局面に立ち向かわねばならない。

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