セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.228『セルフ原理主義者』

オピニオン

2008-10-06

 今月2日から5日まで、私の店のすぐ近くにあるゴルフ場で、「コカコーラ東海クラシック」という男子ゴルフの大会が開催された。注目の“ハニカミ王子”石川遼クンは予選落ちとなり、前半で姿を消したが、連日大勢のギャラリーで賑わったようである。それらのギャラリーを、最寄の駅からゴルフ場まで送迎するマイクロバスをチャーターした地元の運送会社の社長が訪ねてきて、4日間25台のマイクロバスをフル稼働させるため燃料代が30万円ほどかかるので、おたくでまとめてプリペイドカードを購入するから幾らかまけてもらえないかと頼まれた。私は、2万円プリカなら店頭価格からさらに2円引きとなるので、それ以上特別に値引きすることはいたしませんと答えた。てっきり、よその店に行くものだと思っていたのだが、結局、4日間マイクロバスが頻繁に来店し、軽油だけで普段の3~4倍も売れた。それにしても、毎年この時期に大会が開かれていたはずなのに、今回特に大きな“経済効果”がもたらされたのはやはり遼クン効果というべきか。

 そういえば今年に入ってから、「おたくでは掛売りはやっておられませんか」とか「法人契約をしてもらえますか」いう問い合わせがポツリポツリとだが、ある。日進市ではセルフスタンドの増加と反比例するかたちで、フルサービスのスタンドが一軒、また一軒と姿を消している。また、フルサービスだった店がセルフへの改造を機に掛売りをやらなくなってきているので、もしかしたら、そうしたスタンドの客だった法人が問い合わせてくるのかもしれない。いずれにせよ、私の店は掛売りは一切お断りしている。

 近所の運送会社から、毎月○○万円はプリカを購入するので、その代わりに週に一度、トラックを店内で洗車させてほしいと頼まれたこともあったが、これも速攻でお断りした。ただでさえ狭い店内で、トラックが入れ替わり立ち代わり、水をジャブジャブと使って何十分も洗車されちゃあたまったもんじゃない。目先のわずかばかりのまとまった数量欲しさに、他の多くの現金客を失うだけである。

 セルフスタンドの中には、もっと柔軟性のある対応をして、掛売り客も受け入れたり、場合によっては給油もしてあげたりするところもある。それはそのスタンドの経営方針であり、とやかく言うことではないが、セルフスタンドというのは基本的には、均一したシステムによって運営されるべきものだと私は考えている。特定の客に対して特別な便宜を図るということは、ローコスト・オペレーションの阻害要因となる。

 例えば、ある従業員(A)が客の強い求めに折れて給油をしてあげたとする。それから数日後、その客が別の従業員(B)が店番をしている時に、同じ要求をして断られてしまった。当然客は、「前回の店員は給油してくれたのに」と文句を言う。あなたならどちらの従業員を叱責するだろうか。私の店の場合は(A)である。セルフスタンドにおいて、客の代わりに給油をすることは“ご法度”である。セルフスタンドは、客自身に給油してもらう代わりにフルサービスの店より安くガソリンを販売している。たとえ親切心からであっても、特別なサービスを施した結果、そのシステムに狂いが生じてくる。「小に忠なる者は大に忠なり」─大げさに言えばそういうことだ。

 以前、東証一部に上場している企業が子会社として経営しているスタンドのセルフ改造計画に関わったことがある。打ち合わせの際、「このスタンドには親会社の重役やその取引先も給油に来るんですが、それらの人たちにもセルフ給油をしてもらうのですか」と問われたので、私は「もちろんです。むしろその方々たちにこそ、そうしてもらう必要があります!」と答えたら、ドン引きされてしまったという経験がある。「セルフ原理主義者」の私は、そうした類の問題にはつい過剰に反応してしまうきらいがあり、一応反省しているのだが、自説を曲げる気持ちもいまのところ、ない。むしろローコスト・オペレーションを今後より一層徹底的に行なってゆく必要があると考えている。融通の利かねぇ頑固な奴だなぁ~と笑ってやってくだされ。

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