セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.238『安全を最優先に』

GS業界・セルフシステム

2008-12-15

 今月13日午後5時ごろ、名古屋市昭和区のガソリンスタンドで、男性従業員が洗車作業中に洗車機と壁のあいだに挟まれ、駆けつけたレスキュー隊により救助され、病院に運ばれたが、意識不明の重態となっていると、テレビのニュースで報じられていた。その後、どうなったのだろうか。どうか無事でありますように。

 近年は、セルフスタンドの増加に伴い、洗車機もドライブスルー方式のものが増えているようだが、一方で、洗車機任せにせず人手をかけて仕上げる高価格洗車も盛んだ。とりわけ、油外収益の柱として、そうした洗車メニューを導入しているセルフスタンドが多い。そのようなスタンドで時折見かけるのが、洗車機の前後移動の合間を縫って、液体ワックスなどを振りかけながら、従業員がボディを磨いている光景である。高級洗車は、作業が何工程にも分かれているので、短時間で仕上げようとするあまり、ついつい洗車機を停止させずに作業してしまうのだろうが、やはり安全第一で行なってもらいたいと思う。

 ガソリンスタンドでは、従業員が大怪我をしたり、死亡したりする危険性があちこちに潜んでいる。いまから2年前に、韓国のガソリンスタンドでは、タンクローリーが荷降ろしを済ませ出発しようとした際、車両の下に隠れていた猫を追い出そうとしてローリーの下に潜り込んだ従業員が轢かれ死亡するという痛ましい事故が起きた。日本においても、量販店では毎日のように大型タンクローリーが出入りする。前述の韓国で起きたような事故はまれなケースだとしても、スタンド従業員、ローリー運転手双方が安全確認を怠ると、思わぬ災禍が及ぶかもしれない。

 フルサービスのガソリンスタンドの中には、給油後に前面道路まで出て客を誘導する店がある。気をつけてないと、通行車にはねられる恐れがある。特に、夜間は反射チョッキを着用したり、安全灯を使用するなどして誘導すべきだ。しかし、そもそも送り出し誘導って必要な事なのだろうか。下手な送り出しをして客が通行人に怪我を負わせたりした場合、誘導をしたスタンド従業員も業務上過失傷害の罪に問われるケースもあるという。それほどのリスクを負ってまで行なうべき事ではないと思うのだが…。

 ほかにも、自動車整備作業に伴う様々な危険があろう。年末の繁忙期ともなると、ついつい危険予防を怠りがちとなる。しかし、工具の取扱や機械の操作を誤ると、骨折や火傷などの大怪我をする危険性がある事を、現場監督者はスタッフ全員に十分周知させるべきである。

 しかし、今日、ガソリンスタンド従業員の命を脅かす最たるものは、強盗犯罪者たちである。時あたかも不景気の真っ只中であり、あちらで何百人、こちらで何千人という首切りが頻発しているご時世となれば、当然治安の悪化は免れ得ない。ガソリンスタンドの売上金を狙った強盗犯罪は今後増加してゆくに違いない。特に24時間営業店が多く、従業員の少ないセルフスタンドは狙われやすい。従業員の安全性を十分確保した監視システムを導入することは、セルフスタンド経営者の重要な責務の一つである。

 また、損害保険などに入っておくと共に、従業員には、決して英雄的な行動を取ることのないよう言い聞かせておかなければならない。代金を払わずに逃げ去ろうとした車にしがみつき、そのまま数十メートル引きずられたというスタンド従業員の話を聞くと、「バカヤロウ!」と叱りつけてやりたくなる。そんなことで命を落とすようなことがあれば、死んでも死に切れないではないか。

 今年もあと半月足らずとなったが、スタンド従業員のみなさんには、どれほど忙しくても、どれほど急いでいても、どれほど自信があったとしても、安全を最優先にして仕事に従事してもらいたい。

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