セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.252『不当廉売は不当か?』

GS業界・セルフシステム

2009-04-06

 『高知市内で1リットル当たり90円台の激しいガソリン値下げ競争を繰り広げた石油元売り大手や地元販売会社7社が、独占禁止法の不当廉売に当たる疑いがあったとして公正取引委員会から3日警告を受けた。

 『発端は7社のうちの1社が改装オープンに伴い踏み切った値下げだった。公取委は「値下げ自体に悪質性はない」としたが、GSが密集するJR高知駅周辺はそれを発端に値下げ競争が激化した。警告を受け、取材に応じた高知市内の業者は「納得はできないが、法律の認識不足だった」と語り、「損益を考えてもギリギリだったが、問題ないと判断していた。お客さんにより良いサービスを提供するための値下げで、他社に追随した結果だ」と話した』─4月4日付 毎日新聞朝刊より。

 高知県人の気質を一言で言うなら“いごっそう”ということになろうか。“いごっそう”とは土佐弁で頑固で気骨のある男のことだそうだ。鹿児島国際大学の小林隆一教授によれば、“いごっそう”は「きっぷが良く、熱しやすく冷めやすい。言い出したら後に引かず、たとえ自分に不利益なことでも主張し、妥協を許さず、とことんやりぬくという一徹さを持つ」とのことだ。

 業界ではつとに知られた高知ガソリン戦争は、この土佐気質の為せる業だったのだろうか。それにしても、公取からの警告を受けてもまだ「納得はできない」と不承不承矛を収めるところが、まさに“いごっそう”の面目躍如と言える。

 ところで、警告を受けた7社の中には、出光興産とコスモ石油の子会社が含まれていた。「採算販売を率先垂範すべき元売販社が不当廉売で警告を受けるとは何事だ」と、系列特約店から突き上げられることになるのだろうが、私はむしろ、両社とも、「これを厳粛に受け止め、再発防止に努めてまいります」なんてタテマエを述べるのではなく、特約店会の場で今回の件について十分な情報開示を行ない、系列店の参考にしてもらったら良いのではないかと思う。

 例えば、マクドナルドは「100円マック」でなぜ利益が出るのかをきちんと説明している。量販効果によってハンバーガー1個あたりの固定費が大幅に圧縮された結果、1個あたりの営業利益が12.9円から34.7円までなんと2.7倍に増加したというのだ。しかも、客数の増加によって、「100円マック」に加えて、ほかの商品(GSで言うところの油外商品)の売上も伸びているというわけ。マクドナルドの原田泳幸CEOは「10人から10円ずつもらうのではなく、100人から1円ずつもらうのが、うちのビジネスのあり方」と言い切っている。

 これに倣って元売も、「安売り増販すれば、これこれこのように1リットルあたりの営業利益はむしろ増加し、油外収益も大幅にアップするのですよ。みなさんも、このモデルケースを参考にぜひトライしてみてください!ただし公取に引っかかっても当社には責任はありません」とやったらどうだろう。元売販社は、採算性を考えずただ闇雲に安売りしているのではなくて、ちゃんと勝算あってやっているのであり、系列店に薄利多売戦略のお手本を示しているということをきちんと説明すればよいのだ。

 もし、きちんとした説明ができないのであれば、元売販社は仕入れ価格で超優遇されているとか、赤字垂れ流しでもひたすらガソリンを販売しているといった不本意な中傷を浴びせられても仕方がない。万が一、本当にそうだとしたら土佐人でなくてもこう言いたくなる。「なめたらイカンぜよ!」─。

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