セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.264『女性力』

GS業界・セルフシステム

2009-07-06

 『昭和シェル石油の女性社員12人が「女性であることを理由に給与差別を受けた」として、男性社員と同格の地位確認と給与差額など約5億5000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は6月29日、計4945万円の支払いを命じた。裁判長は「違法な男女差別があったと言わざるを得ない」と判断した。女性社員らは66~74年、前身のシェル石油に入社。判決は「少なくとも93年の時点で、男女同一の労働条件による雇用契約が結ばれていたのに、違法な男女別の昇格管理があった」と認めた。さらに、00年に新人事制度が導入されたが、現在も旧制度の差別の影響が継続していると指摘し、1人当たり200万~600万円の慰謝料などの支払いを命じた』─6月29日付「毎日新聞」

 女性であるという理由だけで、男性と同等かそれ以上の働きにもかかわらず、賃金や待遇で差別を被るというのはやはり理不尽なことだと思う。そう言えば、石油元売が女性を支店長に登用したという事例は記憶にない。なぜなんだろう。元売と特約店との関係が希薄になりつつある昨今、細やかな心配りのできる女性支店長の登場によって、特約店の士気を鼓舞するということがあっても良いではないか。あるいはまた、男性社会のしがらみに捕らわれない女性支店長が、旧態依然とした経営感覚の特約店主たちにスパッと直言したら面白いだろうな。

 ガソリンスタンドの現場も、総じて「男社会」だ。全国のGSマネージャーの中で女性が占める割合が何パーセントぐらいなのか知らないが、恐らくほんの一握りであろう。これまで、GSマネージャーといえば、重労働のうえに長時間とあって女性には不向きと見られていた。しかし、セルフ化によって、そうした観念もなくなりつつある。客自らが給油するというセルフスタンドの登場によって、GSでの仕事内容は大きく変化した。

 いまから十数年前に、私はある石油元売の女性スタッフを対象とした接客トレーニングを視察し、その閉会式で挨拶をさせられたことがある。その際、あまのじゃくの私は「きょう、みなさんがここで習得した技能はやがてほとんど役に立たなくなるでしょう。なぜならまもなく日本にもセルフの時代が必ずやって来るからです。しかし、みなさんの明るい挨拶と笑顔はセルフの時代が来ても必要です。むしろいま以上に必要とされるでしょう」と訴えた。三十人ほどの聴衆の女性たちは皆一様にポカ~ンとしていたが、セルフにおける接客の重要性が叫ばれる今日、まさに“女性力”が必要だと思う。

 セルフスタンドにおいては、販売力以上に管理力が求められる。売上金や釣り銭を毎日きちん数えることや種々の帳票類に記録し報告すること、店の隅々まで清潔な状態を保つこと、水道光熱費や消耗品・雑費に至るまで、余分な出費を抑えることなどは、敏感なコスト感覚の持ち主である女性マネージャーの腕の見せ所となる。百万円の油外売上を上げるために、百万円の販管費を使う“油外馬鹿”よりも、コツコツとムダをなくし、一万円でも支出を少なくしようとする“主婦型”マネージャーの方が貴重な存在だ。

 私は、セルフスタンドの登場によって、GS業界は男女平等どころか、女性優位の職場になったのではないかとすら思っている。男社会のGS業界の今日の惨状を見よ!GS業界にもっと女性経営者がたくさんいたなら、採算を無視した価格競争が繰り広げられたり、高コスト体質の大型セルフスタンドが林立するような事態にはなっていなかっただろう。現実的で堅実な女性の感覚がいまこそ求められている。さしあたり昭和シェル石油とその系列店から積極的に取り組んでみてはいかがだろうか?

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