セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.265『痛風』

オピニオン

2009-07-13

 先月47歳になった。幸いこれまで大病をしたことはなく、比較的健康な毎日を送っているが、時々、健康の有難みを思い知らせてくれる持病がある。痛風である。人間誰もが、毎日脂肪を新陳代謝させることで体内に尿酸を作り、これをおしっこなどで体外に排出しているが、この尿酸が作られ過ぎたり、排出がうまくいかずに血液中に増えすぎたりすると、身体のいろいろな部位に沈着する。そして、尿酸が関節の骨膜に沈着したときに痛風の発作が起きる。

 風がそよそよと患部に当たるだけでも痛いということで“痛風”と呼ばれるのだが、その名のとおりモーレツに痛い。わたしの場合、これまでに足の親指の付け根や足の甲、足首などに発作が出たが、痛みがピークを迎える2~3日は二足歩行が不可能な状態となる。靴どころか靴下をはくこともままならない。亡くなった親父もそのまた親父も痛風持ちだったそうなので、遺伝体質なのだろう。

 私の痛風デビューは、忘れもしない1998年3月31日の夜だった。その夜、家族と近所の桜の名所に花見に出かけたのだが、缶ビール片手に歩いているうちに親指の付け根が痛み出したのだ。1998年3月31日と言えば、日本でセルフ給油が認可される前日である。日本の石油業界の大きな転換点を迎えるその日を、私はそれまでに経験したことのない痛みに苦しみながら迎えたというわけだ。

 痛風の原因は高カロリーの食事とアルコールだ。40代に入り、尿酸値を下げる薬を常用し、アルコールの量も食事のバランスもそこそこ気を使っているつもりだが、それでも忘れたころに発作が出る。まだまだ健康管理が至らない故だが、大抵発作が起きるときは、売上が振るわなかったり、赤字が続いたりする時だったりするので、ストレスも大きな要因なのだろう。まあ、GS経営をやっている以上、ストレスは付いてまわるわけで、私の場合、痛風は一種の職業病とも言える。

 米国のある大企業では、役員になる条件の一つとして、血圧や尿酸値、体脂肪率などが平常値であることが求められている、と何かの雑誌の記事で読んだことがある。自らの健康管理もできない人間に従業員の管理を任せられないというわけだ。その倣いで行けば、毎週のように「ローコスト、ローコスト」と叫んでいる私自身の肉体が高コスト体質であることは大いなる矛盾である。本当に情けない話だ。

 それとこれとは別という言い訳もあろうが、会社はしばしば人体に例えられる。例えば“贅肉を落とせ”とか“がん細胞を取り除け”とか“出血を抑えろ”といった言葉が、会社経営において用いられる。自分の健康状態を棚に上げて言わせてもらえば、油外重視の様々な設備投資が十分ペイできないまま、赤字体質に陥っているセルフスタンドは少なくない。激しい運動後のアルコールの摂取がもっとも痛風を誘引させ易いそうだが、増販キャンペーンとその後のインセンティブ頼みの経営を続けてきたスタンドは、かなり健康状態が悪化していることだろう。速やかに生活習慣を改善しないと、激痛に見舞われることだろう。

 ところで、私が杖とも棒とも頼るスタッフのYも、痛風持ちである。そこで、発作が出たときに備えて、いまから2年以上も前にリサイクルショップで松葉杖を買ってきて、店に置いておいたのだが、それ以後、二人とも発作が出ず、こんなもの買わなきゃ良かったなぁと二人で軽口をたたいていたのだが、先月まず私が、今月Yが次々と発症してしまった。とりわけ今年アラフォーの仲間入りをしたYの発作は結構長引き、松葉杖を大いに重宝する破目になった。“松葉杖を付きながらでも店番が務まるんですから、やっぱウチのセルフは大したもんですよね”と本人は気丈に振る舞っているが…。

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