セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.267『日食』

GS業界・セルフシステム

2009-07-27

 今月22日、日本の陸地では46年ぶりとなる皆既日食が観測された。最も長時間、皆既日食が観察できるということで、トカラ列島の悪石島には、島の人口の4倍以上となる約400人の観測者が殺到したが、当日は朝から大雨となり肉眼ではまったく観察できなかった。ひとり当たり約40万円(!)ものツアー代を払ってその日を待ち設けていた人たちは、さぞかしがっかりしたことだろう。

 悪石島のみならず、今回皆既・部分日食が観測されたエリアのほとんどが雨かくもり。豪雨水害に見舞われた山口県の方々は日食どころではなかっただろう。名古屋でも太陽が約8割隠れる部分日食が観測されたが、厚い雨雲に覆われ、満足のゆく観察はできなかったようだ。しかし、恐らく天気が良かったなら、全国でまともに太陽を観て目をいためる人が続出したのではないかと思うと、こんな程度で良かったのかもしれない。ちなみに次に日本で皆既日食が観測されるのは26年後だそうだ。その時まで生きていればオレは73歳か…。(笑)

 「太陽」をお題に石油業界のことを書こうとしたら、まず「太陽石油」が思い浮かんだ。昨年まで、太陽石油の系列スタンドは、その名のとおりの赤を貴重としたカラーリングだったのだが、昨年から新ブランド「SOLATO:ソラト」( “太陽” ソーラーと“明日”トゥモローを掛け合わせた造語だそうです)を立ち上げ、系列スタンドのカラーリングも一新した。防火塀やキャノピーはなんと黒を基調とした大胆なデザインのものになっている。「太陽」なのに「黒」か、と驚いたのだが、もしかしたら日食をイメージしているのかもしれない。

 太陽は、自動車で時速160キロの速度で24時間走り続けても100年かかるはるか彼方にあり、そこから放出されるエネルギーのうち、地球に届いているものは20億分の1程度だ。しかし、地球とそこに住む生きもの全体にとってそれがちょうどよい量なのであり、なくてはならないものなのである。事実、皆既日食が生じた地域では、わずか数分間の間に気温が4~5度下がったそうだ。もし、太陽が隠れてしまったら一年も経たずに、地球は零下240度の氷の惑星となり生物は絶滅する。

 ガソリンスタンド業界は、長年氷河期状態が続いている。「収益」という太陽光線が十分に届かないため、業界に生息する生き物たちはばたばたと死絶えている有様だ。少子化、省エネ化に昨今の経済危機が追い討ちをかけており、真っ暗なうえに土砂降りという、まさに悪石島状態で、業界の「気温」がますます冷え込んでゆくのは確実だ。

 しかし、最大の阻害要因は、「採算」というものをまじめに考えず、量販の呪縛から逃れられずにいる元売や販社・小売店の存在だろう。とりわけ、膨張する元売販社が、各地域において光や熱を遮っている。元売から、洗車や整備、中古車販売やレンタカー事業などの「焚き火」をたいて寒さを凌げと言われても限界がある。これまで、様々なインセンティブという「防寒着」をあてがわれてきた人たちも、昨今の週決め方式を契機に、ほとんどTシャツ1枚のような状態になっており、凍死寸前となっている。

 ローコストのセルフ方式に徹し、できるだけ余分なエネルギーを消費しないようにして、じっと我慢している我々も、いまの状態がこの先もずっと続くようなら、心肺停止状態を迎えることは必定だ。せめて、太陽がすっぽり隠れてしまう皆既日食ではなく、部分日食程度の明るさと温かさが降り注いでほしいと思う。ちなみに、日本では2011年6月2日に、部分日食が観測できるのだそうだ。

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