セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.268『いまの元売に満足ですか?』

GS業界・セルフシステム

2009-08-03

 現在、どこかの石油元売の系列に属し、代理・特約店となっているGSは、いつ、なぜ、どのようにその元売のマークを掲げるようになったのか、それぞれに“歴史”があるはずだ。『いや~、先代社長から受け継いだが、実際のところよく知らないんだ』という二代目社長がいるとすれば、それは自分の生い立ちを知らないようなものだ。当時の事をすべて正確に知ることは難しいとしても、少なくとも、いまの元売と“結ばれた”なれそめ程度のことは知っておくべきだろう。それが「石油小売業」としてのルーツと言えるからだ。

 創業時の元売との代理・特約店関係を解消し、現在は別の元売の系列に属しているのであれば、なぜそうなったのかを、経営幹部のみならず従業員もある程度理解しておくべきではないか。『我々は、これこれの点でA石油と合意してやってきたが、かくかくの問題で契約解消に至り、その後しかじかの理由でB石油と共に歩むことととなった』という明確な理由があってこそ、経営理念とやらが説得力を持つのではなかろうか。仮にそれが、仕入れ価格が高い、安いといった下世話な問題であったとしても。

 元売が系列店を、販売力や財務力などを勘案して振るいにかけているきょうこのごろだが、逆に代理・特約店が元売を選択する時代でもある。ガソリンはどこで仕入れても同じ代物だし、価格も大差があるわけではなかろうが、それでもいまの元売をパートナーとすることにどのようなメリットがあるのか、ノートに書き出してみると良かろう。もし、何のメリットもないばかりか、デメリットが生じているようなことがあるのなら、早速、他の元売や商社とコンタクトを取るか、さもなくば独立系となる道を真剣に考えた方が良い。

 今月末に行なわれる総選挙は「政権選択選挙」とされており、各党のマニフェストの内容が新聞やテレビで連日論じられている。それに倣って、石油元売も何年に一度かはマニフェストを発表し、今後の系列店政策を明確に示し、GS経営者たちに選んでもらうようにしたらどうだろうか。週決め価格の内容や販売支援のメニュー、セルフ戦略などについて比較考量してもらい、納得してもらったうえでマークを掲げてもらうようにすれば、業転を“浮気買い”されるようなこともないだろう。

 とにかく、元売と系列店双方が契約条項を誠実に履行すること、それができなければ相応のペナルティを被ることを合意した上で、常に緊張感のある関係を持続させてゆくことが望ましい。『ウチは創業以来ずーっと○□石油のアブラを売ってきた!』と胸を張る年配のGS経営者にお目にかかることがたまにあるが、そのような方には「それがどうした?」と尋ねてみたい心持ちだ。“老舗の味”を守っているとでも思っているのか、ただ単に変化を恐れているだけなのか。

 『ウチは○□石油からこの地域の有力ディーラーとのお墨付きを得ている』と自信をみなぎらせる若手経営者もいる。では、“有力ディーラー”とやらに認定されている事を裏付ける特約事項や、それを明記した証文があるのかと言えば、ない。大抵の場合、支店長か小売部長に懇親会の席で耳打ちされた言葉をそのまんま信じている場合が多い。人が良いにもほどがある。元売の甘言を鵜呑みにして、闇雲に店舗展開を推し進めた挙句に破綻した“有力ディーラー”はたくさんある。

 いまの元売との関係を定期的に点検することは、GS経営者の最重要課題といえる。繰り返しになるが、元売各社にはぜひマニフェストを出してもらいたい。一方、GS側も、系列店としてどれほどのことを成し遂げることができるか、やはりマニフェストを示し、その実現に向けて努力すべきだろう。そんな責任は負うことは面倒くさいし、自己責任で自由に商売したいというノンポリ経営者は、私のようにPBセルフを経営することをお勧めする。

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