セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.272『政権交代』

政治・経済

2009-08-31

 テレビで総選挙の開票速報を見ながらこのコラムを書いている。予想通り民主党の大勝、というよりは、自民党のボロ負けという結果になった。とうとう政権交代となるわけだが、そうなると、民主党がマニフェストで謳っている高速道路の全線無料化と、ガソリンの暫定税率廃止が来年度から現実のものとなる。もし実現すれば、高速道路は乗り放題のうえ、1リットルあたりガソリンは約25円、軽油は約17円も安くなるわけだから、自動車が走ってナンボの我々の業界にとっては、大きな“景気対策”となるだろう。

 民主党が掲げているスローガンは「脱官僚」。明治以来の官僚支配体制をぶち壊し、政治主導で予算を組み政策を実施してゆこうと宣言しておりなかなか勇ましい。しかし、「言うは易し、行なうは難し」。政治家が官僚と同レベルか、それ以上の情報と知恵を行使しなければ、たちまち役人に使われてしまうことになるだろう。とにかく、民主党のセンセイたちは早速猛勉強に励まねばなるまい。

 同じことは我々ガソリンスタンド経営者にも言えることだ。私自身はPBスタンドだが、多くのGS経営者は石油元売をパートナーとしている。ほとんどのGS経営者は、自分は元売から商品を買ってやっているのだから、立場は上だと考えている。しかし、元売に“使われている”GS経営者は少なくない。事実上、経営のハンドリングを元売に握られてしまっているのだ。その要因は、GS経営者の不勉強にある。自社の仕入れ価格が他の元売や業転と比べて高いのか安いのかロクに調べてもいない経営者や、セルフへの改造にあたっては元売の言われるがままのシステムを導入する経営者が何と多いことか。

 元売の言うとおりの事をやっていれば、事後調整をしてもらい、決算の帳尻を合わせてもらっていたころは、GS経営者は何も勉強しなくても良かったかもしれない。しかし、いまはそんな時代ではない。しっかりと理論武装し元売に提案や注文ができなければ、高コストのGS経営を強いられ、やがて消えざるを得ないだろう。

 民主党政権は公約した施策を実行するための財源を、無駄を省くことで捻出するとしている。『そんな手品のようなことができるものか』と与党から散々攻撃されたが、果たしてどうなるのか。確かに、無駄を省くだけで莫大な予算をすべて賄えるとは思えないので、近い将来消費税などの増税が必要となってくるかもしれない。しかし、そうであっても、まず無駄減らしを徹底的にやることが先決だ。その上で、国民に増税の賛否を選挙で問えば良いのではないか。

 ガソリンスタンドも、まずは無駄を省くことから取り組むべきだ。例えば、GSには洗車機は当然置くべきものと多くの経営者は考えているが、実際のところ、本当にそれが必要なのかどうか見直すべきだ。月々の水道代や洗剤代、リース料や保守料、販促費や人件費などを精査したら、洗車機がない方がもうかるという結果になりはしないだろうか。もっと高性能の洗車機に買い換えようという発想と、洗車機を一旦取っ払ってみようという発想のどちらが実際的といえるだろうか。

 収益確保のために、最近では中古車販売やレンタカーなどにも手を広げている店があるが、本当に利益貢献しているかどうかよく見きわめるべきだ。“集客力”や“競争力”といった言葉に惑わされず、“もうかるか、もうからないか”という一点に絞って、アイテムをひとつひとつ点検してゆくべきだと思う。

 戦後日本の憲政史上初の政権交代の影響は、冒頭で挙げた施策の実現以外にも、良きにつけ悪しきにつけ、様々なかたちでわたしたちに及ぶだろう。しかし、どんな環境になろうとも、ローコスト・セルフシステムこそが最善の策と信じて前進あるのみだ。

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