セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.274『ウイスキー』

オピニオン

2009-09-14

 「酒を飲むのは時間のムダ。酒を飲まないのは“人生”のムダ」─題名すら忘れてしまった映画の中でのセリフ。どんな場面でどんな人物がしゃべったかも覚えていないが、セリフだけが頭の中に残っている。お酒好きの人間なら、一度は口にしてみたくなるようなセリフだ。およそ酒好きは、人生の節目節目で必ず酒を飲んでいる(節目でなくても飲むが)。何か良いことがあった日には「お祝い」と称して酒を飲み、何か辛いことがあった日には「気分転換」と称して酒を飲む。家族や友人と、上司や部下と、時には一人で酒を飲む。酒を飲みながら毎週下手なコラムを書いている奴もいる…。

 一言で酒といってもいろいろな種類があるのだが、最もポピュラーなお酒と言えば、やはりビールだろう。近年は麦芽比率の低い「発泡酒」や、ビール味のするリキュールである「第3のビール」などが売上を伸ばしている。なぜ、伸びているかと言えば、ずばり安いから。ビールは500ml当り110円の酒税がかかるのに対し、発泡酒のそれは約89円、第3のビールでは約67円。この税額の差が、それぞれの売価に反映され、結果として値段の安い“なんちゃってビール”が売れているというわけだ。

 石油業界でも、これまで幾度も揮発油税の対象外となるアルコール燃料などが開発・販売されてきたが、毎度お上との争いに発展し、最後は“脱税ガソリン”のレッテルを貼られて販売中止に追い込まれてきた。いまから7~8年前には、私のところにもあの「ガイアックス」のセールスマンが足繁くやってきては、「ぜひ扱ってください」と勧められた。「アルコール燃料だから、揮発油税はかからなくても酒税がかけられるんじゃないの」とアホな冗談を言ったつもりが、真顔で「ガイアックスはいわば“ガソリンの発泡酒”です」と返事されたときには苦笑してしまった。

 私自身は、40歳を過ぎたころからほとんどビールを飲まなくなった。尿酸値を気にして控えていることもあるが、以前ほどビールがおいしいと感じなくなった。一日中、フルサービスのスタンドで走り回ったあとの晩酌ともなれば、冷たいビールもさぞおいしかろうが、セルフスタンドの監視室で店番しているぐらいでは、さほどのども渇かない。セルフスタンドで働くデメリットのひとつと言えようか。

 最近、ウイスキーをソーダ水で割る、「ハイボール」が復権しているらしいが、私は以前からハイボール党。それも「I.W.ハーパー」というバーボン・ウイスキーのソーダ割りと決めている。クセがなく、ソーダで割ることによってコクと甘みがほどよく調和して実にうまい。いろいろなウイスキーのソーダ割りを試してみたが、「ハーパーソーダ」が一番と思っている。割る比率は「1:3」ぐらい。氷はコンビニで買った硬くて大ぶりのものを使うのがコツ。レモンやミントで香りを加えたり、ソーダの代わりにトニックウォーターやジンジャーエールを使うレシピもあるそうだが、私はシンプルなソーダ割りしか飲まない。そもそもカクテルやチューハイの類が苦手。コーラやジュースを混ぜてまでお酒を飲もうとは思わないのだ。酒の好みも、スタンド経営も、シンプルなものが性に合っているのだろうか。

 ところで、民主党政権となりガソリンの暫定税率が引き下げられることになりそうだが、同時に環境税の導入がささやかれている。現在、政府主導でバイオエタノールが3%含まれるE3ガソリンの販売が始まっており、近い将来同10%のE10ガソリンが販売されるという。その含有率に応じて環境税が減免され、価格に反映されるかもしれない。いつの時代も酒や油は、税というものに翻弄される定めのようだ。ガソリンスタンドの経営なんてことをやっていると、うまい酒を飲む機会は今後もあまりなさそうだが、何とかハイボールを1~2杯飲める暮らしを続けられれば良いなと思う。ローコスト・セルフの心構えは謙虚に、つましく、「少し愛して、なが~く愛して」だ。

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