セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.282『仕分け』

政治・経済

2009-11-09

 鳩山・民主党政権の目玉政策のひとつ、行政刷新会議による事業仕分け作業が進んでいる。2010年度の各省庁の概算要求の中から無駄を洗い出し、予算策定に反映させる。200超の事業が対象となり、国会議員や有識者から成るワーキンググループによって公開の場で査定されるというもの。霞ヶ関では、「刷新送りの刑」なる隠語がささやかれ、官僚たちは戦々恐々としているのだとか。果たしてどこまで無駄を削減できるか、見ものではある。

 この仕分け作業には、当初、民主党の新人国会議員が14人登用されていたが、小沢一郎幹事長に「新人は党の研修を優先させるべし」と一括されて、たちまち4分の1程度の人数に「仕分け」されてしまった。確かに、新人議員にいきなりそんな大役を担わせるのは無理があったかもしれない。しかし、新人議員が起用された理由が、既得権益のしがらみにとらわれていないからだと聞いた時には、“なるほど”と思ったのも事実だ。

 これまで、コテコテの掛売り主体・フルサービスでやってきたGSを、シンプルな現金主体・セルフサービスへ転換させるというのは、スタンド業務の大胆な「仕分け」を意味する。それまでは大事な仕事とされてきた給油や窓拭きなどをやめ、どちらかといえば二次的な仕事だった掃除や保守といった事柄に注力しなければならない。既成概念にとらわれ、業務の「仕分け」ができない“ベテラン”よりも、むしろ物事を合理的に見ることのできる“新人”の方が、セルフスタンドをうまく運営できるかもしれない。経験が浅いことは、ハンディであるどころか、大きな武器になることさえあるのだ。

 「脱官僚」を標榜する民主党政権が各省庁に送り込んだ大臣を補佐するのが、副大臣と政務官である。いわゆる、政務三役と呼ばれる人たちだが、自民党政権時代は副大臣や政務官が仕事をしている様子など、ついぞ見た事がなかった。ところが、いまの政権では、副大臣や政務官が連日夜遅くまで役所の一室で、電卓を叩きながら無駄探しに血まなこになっている様子がメディアで報じられている。

 GSにおいても、店長のもとで副店長や主任といった立場のスタッフが働いている店がある。店長が24時間365日ずっと店を取り仕切ることは不可能なのだから、それを補佐する有能なナンバー2は不可欠な存在といえよう。彼らが店長の意を体して、スタッフに目配り気配りを働かせるなら、GSの接客力や販売力は一層向上する。これらの人材は、将来の店長ともなり得る貴重な存在でもある。セルフスタンドへの転換をはかる際、ナンバー2を店長に昇格させると望ましい結果が生まれることも往々にしてある。それまでの成功体験にとらわれず、新しいシステムを受け入れようとする素地があるうえに、昇格したことを意気に感じて一生懸命に取り組むからだ。

 ところが近年、GS店長の過酷な勤務状況を目の当たりにし、「店長になりたくない」と感じるGSスタッフが増えているという。さもあらん。長時間労働の中で店頭での接客・販売をこなすかたわら、売上金や在庫品の管理、スタッフ教育やローテーション管理などに忙殺される上司の姿を見ていると“オレもなりたい”とは思えないだろう。仕事の「仕分け」をきちんと行ない、仕事の優先順位を明確にし、無駄な仕事を排除することで、店長職をやりがいのあるものにしなければ、この業界からますます優秀な人材がいなくなってしまうだろう。

 この問題は、フルサービスのGSだけのものではない。セルフスタンドにおいても、業務の「仕分け」がきちんとなされないままセルフ化され、「給油以外はフルサービス」などという訳のわからない形態をとっている店も少なくない。いま一度、各々のGSが、「おそれず、ひるまず、とらわれず」の姿勢で、体質改善に取り組まねばならないならない!(あれ? このキャッチフレーズ、いつか聞いた気がするなぁ…)

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