セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.312『欠点探し』

エンタメ・スポーツ

2010-06-21

 戦国時代にあった8世紀のイングランドにおいて、戦争で相手国の大将の首を取ると、勝利の雄叫びと共にその首を蹴っ飛ばして、その勝利を称えたという。これがサッカーというスポーツの起源らしい。そのころのわが国はといえば、奈良時代を迎え、貴族たちが「ア~リャ~」などと言いながら蹴鞠に興じていたわけで、“蹴球”に対するモチベーションが欧州人とは根本的に異なっていたと言わざるを得ない。

 このところ連日、「ワールドカップ!ワールドカップ!」とやかましいことこの上ない。初戦で格上のカメルーン戦に勝っちゃったものだから、ひょっとしたらオランダ(FIFAランキング4位)にも勝てるかもしれないという期待が高まり、テレビは“オランダの弱点はここだ”みたいなことを連日報道する始末。どこの局だったか忘れたが、「オランダチームは白人と有色人種の混成チームのため、選手間に人種間の軋轢がある」といったことを、“オランダの事情に詳しい”どこかのセンセイのコメントを交えながら解説し、日本には勝機があると報じていた。ヒトラーが聞いたら拍手しそうなこうした報道が大真面目にやられているんだから、明らかに常軌を逸している。

 案の定、オランダはエースストライカーを温存しつつ“予定通り”日本を破り、セカンドステージ進出を決めたが、立ち直りの早い日本人は、今度はデンマークの欠点探しに余念がない。つくづく内向きな国民だな~と苦笑してしまう。勝負は時の運、やってみなくちゃわからない。相手チームの分析やそれに合わせた戦術も大切だが、元はと言えば生首を蹴っ飛ばすという、動物本能丸出し、アドレナリン過剰放出の競技だったのだから、がむしゃらに敵陣に突っ込んでゆく中で勝機も生まれるというものだろう。

 日本にもセルフスタンドが誕生するかもしれないとのうわさが広がり始めた1990年代半ば、元売も組合も“セルフは日本では流行らない”との論陣を張っていた。提灯持ちのコンサルタントたちが、「日本人はきめ細かい接客サービスを好むから」とか、「女性ドライバーは自分で給油することを好まない」などの“分析”を真面目な顔で得々と説いていたのを思い出す。

 21世紀に入り、セルフが増えてくるようになったらなったで、今度は「給油のみのセルフでは生き残れない」だの、「最低でも500㌔、油外は200万はないとペイできない」だのと、主に独立系のセルフスタンドを標的にしたネガティブ・キャンペーンが展開され、純真だが、それゆえにだまされやすい多くの系列店主たちは、重装備のセルフスタンドを運営させられるハメになった。需要減退の局面を迎えた近年、こうした“欠点探し”をベースにして建造されたセルフスタンドが、運営コストの重さに耐え切れずに潰れている。元売直営のセルフは、現在でも量販攻勢を仕掛けているが、彼らはまともなプレーヤーではない。いや、プレーヤーというより、ほとんどフーリガンで、早晩、かなりの軒数の直営店が市場から退場させられるのではないだろうか。

 気温が低かろうと、天候が雨だろうと、試合場が高地だろうと、サッカーのルールは変わらない。時間内に相手よりも多く点を入れたほうが勝ち─それだけだ。ゴール前の決定力不足がどうのこうのと言っても、そんなものは一人の強力なフォワードがいれば、あるいは短期間でも好調なフォワードがいれば解決する。同様に、仕切体系が変わったり、原油価格が動いても、GS経営者がすることは、安く仕入れ、コストを抑えて売ることに尽きる。一介のGS経営者が、難しい顔をして、メキシコ湾の原油流出やギリシャの財政危機を論じてどうなる。ひたすらボールを追いかけ、相手ゴールに向かってシュートを打つしかないのだ。

 かく言う私は、自他共に認めるサッカー音痴で、あの競技のどこがあれほど人々を熱狂させるのかさっぱり理解できない。そんな輩だから、相手の欠点をほじくって分析したり、評論家たちが机上演習をしながら予想したりするのが、余計に馬鹿馬鹿しく感じられるのかもしれない。

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