セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.314『国際化』

社会・国際

2010-07-05

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、海外展開を加速させており、言語の共通化が不可欠と判断したため、来年3月から社内の公用語を英語にする方針を明らかにした。日本のオフィスも含めて、幹部による会議や文書は基本的に英語とする。導入までに、海外で業務ができる最低限の水準として、国際英語能力テスト「TOEIC」で700点以上の取得を求め、幹部社員の賃金体系も世界で統一、店長クラスの海外異動を日常化させるとのことだ。

 衣料品店の店長が、いきなり「来月から香港」なんて辞令を受けるとは、グローバル化は小売業においても確実に進んでいるのだなと感じ入った。それにしても、Tシャツやチノパンを売るのに、世界規模での人事異動をする必要があるのかどうかはようわからん。仮にガソリンスタンドで同じことをやろうとしたらどうなるんだろう。エクソン・モービルあたりが代理店とのコミュニケーションに英語を用いるよう求めたらどうなるだろう。あるいは、海外のGSの運営を任せると言ってきたらそれに応じることのできる人材がどれほどいるだろうか。

 私はつくづく、米国が戦勝国として日本を統治下においた直後に、なぜ英語を公用語にしてくれなかったのか、少なくとも「第二公用語」として、バイリンガル教育を強制的に進めてくれればよかったのにと思う。そうすれば、いまごろ字幕なしで映画を見、ビートルズの曲をカラオケで歌い、パソコンのキーボードを変換する手間なくすらすらと打っていただろうに…。

 恐らく米国は、戦艦「大和」や戦闘機「零戦」を造るような高度な工業・科学技術を持つ民族が、国際公用語を自在に操れるようになったら、近い将来、米国の産業を脅かす存在になると考え、そのまま日本語という複雑な言語を話すままにしておいたのではないだろうか。実際、そのようなハンディキャップを抱えながらでも、日本は米国に次ぐ経済大国にまでなってしまった。

 しかし、いまや日本人が習得すべき言語は、中国語だという説もある。とりわけ、経済の分野においては、中国語を話せるか否かが今後の成長の鍵を握ると言われている。例えば、昨年、経営危機に直面し、中国の家電量販店グループの傘下に入った「ラオックス」は、売上げ倍増のV字回復を遂げているが、その大きな理由のひとつは、秋葉原の本店の店員約120人の3分の2に外国籍の従業員を配し、中国人観光客という新たな“お得意様”の獲得に成功しているためだという。

 今月から中国人への観光ビザ発給要件が大幅に緩和されたこともあり、今後、日本を訪れる中国人の数は着実に増加する。彼らが欲しがる商品を的確に把握し、迅速に対応することが成長にとって不可欠な要素だと多くの日本企業は考えている。では、GS業界はどうか。外国人観光客が自分で運転してGSに来店することはほとんどない。しかし、外国人労働者の人口は年々増加しており、地域によっては顧客のかなりの割合を占めているGSもある。

 セルフスタンドであれば、基本的には給油ができればそれでよしなのだが、それでも案内表示などに英語や中国語を併記するなどの受け入れ体制を整えることは、外国人ドライバーの獲得の一助となるのではないか。油外商品の販売ともなれば、ていねいな商品説明ができる言語力を持ったスタッフがいるなら、売上アップに貢献できるかもしれない。

 しかし、最も効果的な方策は、やはり、シンプルなシステムにすることだろう。相手の立場に立って考えてみればわかることだが、自分が拙い言語力で、外国のGSで給油しなければならないとしたら、三重四重の価格システムや、文字がたくさん書いてある給油システムのGSで給油したいと思うだろうか。どこで買っても同じ物を買うのなら、安く、簡単に買える店を選ぶ─これは、万国共通、普遍のサービスだ。

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