セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.316『二千円札』

GS業界・セルフシステム

2010-07-19

 2000年の沖縄サミット開催に合わせて発行された二千円札が、今月19日で丸10年を迎えた。最近あまり見かけないなぁと思っていたのだが、流通量は2004年8月に5.1億枚を記録し、五千円札を上回ったのをピークに減少し、2009年度末には1.1億枚と紙幣全体の0.9%まで落ち込んでしまった。

 「2」のつく紙幣は海外では一般的で、米国では20ドル札が、欧州でも20ユーロ札が共に20㌫以上を占めており、英国に至っては20ポンド札が半分以上を占めているそうだ。その背景には、偽造対象になりにくい中・小額紙幣が好まれるという事情があるらしいのだが、紙幣の偽造防止技術が高い日本ではいまのところ高額紙幣が安心して使えるので、千円札か一万円札で事足りてしまう。また、金融機関のATMでは、二千円札の預け入れはできても、払い出しの対象になっていない場合が多い。さらに、多くの自動販売機で使えないことも普及を阻む要因となっているようだ。ついでに、日本では結婚式のご祝儀に偶数は割り切れるので別れに通じるから縁起悪いとされているということも微妙に影響しているかもしれない。

 私の店でもプリカ販売機に二千円札が入金されていることは月に1~2回のことである。しかし、GS、とりわけ金額指定給油が多いセルフでは、2千円分の買い物というのはいたってポピュラーな金額である。千円分では少なすぎるが、三千円分もは入らないということで、千円プリカを(当店は2千円プリカがございませんので)2枚買ってゆく客は結構多い。また、三千円分までなら、テクナ精算機の場合、プリカを買わなくても紙幣(千円札のみ)を現金投入口に直接入れて給油ができる。その場合、釣り銭を出す場合はすべて硬貨で返金する。

 例えば、千円札を3枚入れてはみたが、2千円分しか給油しなかった場合は、5百円玉2枚となって返ってくる。高額紙幣を読み取らず、現金給油を三千円までに限定することで、機器の構造が単純化されており、メンテナンスが簡単な仕組みとなっている。また、釣り銭も硬貨のみで小額準備しておくだけでよいので、安全面のリスクも抑えることができている。ワカル人には“な~るほど”とわかってもらえる話だ。

 大抵のセルフスタンドで見かける屋外精算機は、紙幣は二千円札も含めすべて投入できるが、釣り銭はバーコードレシートがプリントアウトされ、それを少し離れた払出し機のセンサーにかざして釣り銭を受け取るという仕組みだ。レシートの取り忘れや、釣り銭のもらい忘れがちょくちょくあるらしい。屋外の精算機で、一万円札を入れて2~3㍑しか給油しない客に対応することが、コスト競争にしのぎを削るセルフスタンドにとっていかに負担をかけるか、ワカル人にはイタイほどわかる話なのだ。

 ワカル人向けに、もうひとつ機能の説明をさせていただくと、テクナシステムの精算機は硬貨を直に投入して給油ができる。近所のパチンコ屋で遊んだ帰りの客が、3千円分をすべて百円玉で給油するのには閉口するが、原付に乗った学生客が五百円分だけ気軽に給油してゆく姿をよく見かける。最近、この機能の特性を生かすべく『ワンコイン(五百円玉)給油OK!』という大きな看板を前面道路に向けて出したのだが、そのせいか販売量がやや底上げされたように思う。

 二千円札の話から五百円玉の話になってしまったが、要はセルフ精算機選びのポイントは、小額給油客の受け入れ体制と、釣り銭払い出しの仕組みにかかるコストとリスクをいかに低く抑えるかということなのだ。プリカを主たる決済手段とし、屋外での現金給油は一定額にとどめるというのが、四つのシステムコスト(イニシャル・ランニング・メンテナンス・セキュリティ)を抑えるものとなる。

 「いや、もっといい方法がある。系列のクレジット会員をどんどん増やしてキャッシュレス化を進めることだ」という御仁もおられることだろう。その人はわかっているようで、実はわかっていないということが、やはりワカル人にはわかるのだ。

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