セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.321『顧客満足度調査結果考』

GS業界・セルフシステム

2010-08-23

 米国の大手市場調査会社J.D.パワーのアジア法人が実施した「日本サービスステーション顧客満足度(CS)調査」の結果がこのほど発表された。この調査は、全国の自動車保有者を対象に、GSの使用経験や満足度を調べるもので、インターネットを使い、フルサービスで5488名、セルフサービスで6862名の回答をもとに構成されている。

 J.D.パワーは、フルサービス、セルフサービス各々の営業形態に着目し、CSを構成する要素割合を独自に定義。1000点満点の総合的な満足度スコアをGSのブランド別に算出した結果、フルサービスではエネオスが651ポイントで2005年の調査開始以来、初のトップとなった(前年は7位)。エネオスは店舗施設部門、窓ふきや給油後の道路への誘導などの店員サービス部門でトップの評価を得たのが飛躍につながったとのことだ。

 セルフサービスのトップは636ポイントの三井石油で、精算・支払い、商品・サービス、サービスオペレーションなどの部門でトップの評価を得たためだそうだ。ちなみに「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の“エクソン三兄弟”は、今回の調査結果で、フル・セルフのいずれの上位3社の中にもランキングされなかったのはちょっと意外だった。

 なお、報告は、セルフサービスを主に利用している人の割合は、2009年の64%から2010年は67%に増えたが、伸び率は鈍化傾向にあるとしている。また満足度スコアは、フルサービスが平均4ポイント向上したのに対し、セルフサービスは13ポイント低下。目新しさがなくなり、これまでと同じ店作りでは顧客を惹きつけられないとしている。

 この調査結果を鵜呑みにすれば、セルフは頭打ちとなり、フルサービスがCSをじりじりと上げ復権しつつある、ということになる。しかし本当だろうか? J.D.社の満足度スコアなるものの詳細を知らないので何とも言えないが、肌感覚では、フルサービスの勢いが増しているとは感じられない。フルならではのCSを提供しようとするなら、それなりの価格で売らなければ維持できないはずだが、現状はセルフ追従の価格掲出を続行中である。真の顧客満足がどこにあるかは一目瞭然なのだ。

 また、セルフ部門のトップが「三井」と言われても、正直ピンと来ない。愛知県ではあまり見かけないので三井石油のホームページで検索したら県内でわずかに14ヶ所、名古屋市内には3ヶ所しかない。「三井が好き」なんて答えた人は相当のマニアじゃないだろうか?(三井石油の関係者みなさんゴメンナサイ) それに、顧客満足はそれぞれの系列店の企業努力による結果であって、元売の手柄というわけではないはずだ。

 それよりも、J.D.社は近年急速に増えているノンブランドのGSは調査対象に加えていないのだろうか? フル・セルフを問わず、ノンブランドのGSのハード・ソフト両面の「店作り」の実態を調査するほうが、いまの業界にとってより消費者目線の分析に資すると思うのだが…。

 いまのところ、J.D.社の調査結果はGS業界に大きな影響をもたらしてはいない。ところで、J.D.社を傘下に置く米国の大手出版社マグロウヒルの下には、あの泣く子も黙る格付け会社「スタンダード&プアーズ」もある。むしろ、こちらにお出ましいただいて、系列販社も含めた石油元売会社の格付けを公表してもらったほうが、よっぽど興味深いし、業界のためにもなると思うのだが…。

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