セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.322『凶悪犯罪』

GS業界・セルフシステム

2010-08-30

 ガソリンスタンドを狙った犯罪が多発している。中でも凄惨だったのは、8月12日未明に所沢市の三井系セルフスタンドの事務所が全焼し、67歳の男性従業員が全身にやけどを負い後日死亡した事件。新聞記事によれば、従業員は発見された際、携帯式の緊急通報装置を握っていた。ボタンを押すとブザーが鳴り、会社の関係者と連絡がつくシステムだったそうだっが、火災発生時、連絡はなかったという。

 また、警察の調べで、事務所内からは油性反応が検出されたことも判明した。また、事務所から従業員が倒れていた場所にかけて血痕も発見されていることから、警察は、従業員が事務所内で危険を感じて緊急通報装置を握ったにもかかわらず、ボタンを押す余裕のないまま何者かに油をかけられるなどして襲われた可能性があるとみている。

 さらに、事務所から約10㍍離れた控室からは防犯カメラのビデオデッキとパソコンがなくなっている一方、ガレージ内にあった金庫や、敷地内の釣銭機はともに被害はなかった。警察では、GSの内部事情を知る者による犯行の可能性もあるとみて、殺人未遂、放火事件として調べている─。

 GSに放火するなんて、悪魔の所業としか言いようがない。被害に遭ったGSの周辺をグーグルマップで検索すると、すぐ隣はマンション、裏は3㍍ほどの幅の道路を挟んで住宅が建ち並んでいる地域だ。万が一にも引火・爆発を引き起こしていたらと考えるとゾッとする。それにしても、現金には手を付けず従業員もろとも火を付けたということは怨恨か? 憶測は慎みたいが、何とも恐ろしい事件である。一刻も早く犯人を捕まえて真相を解明し、今後の防犯・防火対策に反映させてもらいたいと思う。

 8月27日未明には福井県大野市のコンビニに男が押し入り、一人で店番をしていた男性店長(46歳)を刃物のようなもので刺殺、事務所の売上金約35万円を奪って逃走した。福井県内では9年ぶりの強殺事件で、地元メディアはコンビニの防犯カメラに映っていた犯人の映像を公開するなど連日大きく報じている。

 コンビニ強盗事件は全国で跡を絶たないが、今回の事件は、GS(出光系)と同じ敷地内に併設された店舗での犯行だった。コンビニに賊が押し入ったのは午前2時50分ごろのことだったが、となりのGSはセルフだったが24時間営業ではなく、閉店していた。もし、GSも24時間営業をしていたら、犯人は凶行に及んだであろうか?GSとコンビニが、共に24時間営業をしていて犯罪者を牽制しつつ、危険が生じたら相互に通報するような取り決めがあったなら、少なくとも店長が殺害されるという最悪の事態だけは防げたのではないだろうか。

 セルフスタンドは少ないスタッフで安全に営業することを基本コンセプトとしなければならない。油外商品の販売やクレジット会員の獲得も結構だが、客との対面を重視するあまり、セールスルームのレイアウトや接客マニュアルにおいて、安全性を軽視してはいないか点検してみる必要がある。客の中には凶悪な人間も潜んでいることを十分念頭に置き、警戒心を怠らず、いざという時に従業員の生命を守ることができるよう備えをしておかなければならない。はからずも災禍に遭い亡くなった従業員のご家族の無念を心に刻みたい。

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