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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.323『政治主導』

政治・経済

2010-09-06

 民主党の党内抗争は、遂に菅・小沢の代表選挙戦というガチンコ勝負となった。小沢一郎という“横綱”の登場によって、政局好きの人にはたまらない好取組が実現し、連日大々的に報じられている。果たして軍配はどちらにあがるか。投開票日は今月14日。

 ところで、両者ともテレビ討論や街頭演説で「政治主導」という言葉をしきりに口にしている。予算編成や法案作成を霞ヶ関の官僚たちに任せておくとロクなことはない、国民によって選ばれた議員たちが主導権を持って政策を立案・実行してゆかなければならない─というわけだ。

 至極当たり前のことだが、その当たり前のことがこれまで果たされてこなかったわけで、恐らく二人のどちらが総理大臣になっても、おいそれとは行くまい。巨大で複雑な官僚機構を抑えつけ支配するのは至難の業だ。

 GS業界はといえば、これはもうガチガチの「元売主導」の社会。とりわけ、セルフ時代到来以降、元売は店舗の統廃合を進める一方、直営セルフを積極的に展開してきた。多角化やカーケア、カード戦略なども元売のつくったパッケージを代理・特約店が忠実に実行すればよろしいという具合だ。

 こうした「元売主導」がGSを富ませ、幸せにしてくれているのなら何の不満もないのだが、実際は“低成長時代における高コスト体質”という状況を生み出している。しかし、元売は自分たちが考え出した戦術どおりに戦えば必ず勝てると主張して譲らず、その戦術を実行するための財源を、新たに導入した「ブランド料」という“税金”によって賄おうとさえしている。その結果、GS業界にも“格差”が広がっている。

 『いまこそ、GS店主の“生活が第一”の政策を推し進めるべく、GS主導の経営を実現しようじゃありませんか!』と訴えたところで、じゃあ「GS主導」って具体的に何をどうすればいいんだ、ということになる。実際のところ、GS店主の多くは自分たちが主導権を持って経営してゆく知恵も勇気も持ち合わせていないように思える。元売から勧められた(命じられた)とおりに物事を進めてゆくほうが楽だし、これまでに築いてきた元売との信頼関係を一朝一夕で壊してしまうのは忍びないとして、行動を起こすのをためらっている店主は、事此処に及んでも多数派を形成している。

 ある外資系GSの店主もそんな経営者の一人だったが、一緒に働く息子から「これ以上元売の言うとおりにやっていたら潰れる」と訴えられ、喧々諤々の役員会議(家族会議)の末、系列離脱の道を歩むことを決断したとのことだった。主導権を持つということは、それなりの覚悟と力量が求められるのであって、あだや疎かに行なうべき事ではない。

 ところで、霞ヶ関の官僚たちは「政治主導」の大合唱にさぞやいらだっているかと思いきや、実は歓迎しているという説もある。政治主導となれば、国会での答弁書作りやセンセイたちへのご進講などで連日深夜まで働くこともなくなり、「居酒屋タクシー」に乗る必要もないというわけだ。もしかしたら、元売の社員たちも「GS店主たちが呑気にゴルフなんかしてないで、自分の店のことにちゃんと取り組んでくれればオレたちも楽になるのにな」とつぶやいているかもしれない。

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