セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.325『円高対策』

政治・経済

2010-09-20

 1ドル=82円台まで急騰した円相場に歯止めをかけるため、今月15日、政府・日銀が円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った。これまで円高対策は後手に回っていたが、6年半ぶりの市場介入で、円相場は85円台に値を戻した。ようやく回復基調に入ったとされる日本経済が再び失速することへの危機感が決断を促したと言える。

 輸出企業にとって円高は疫病のように恐れられている。例えば、トヨタの場合、円高が1円進むことで年間の営業利益が350億円減少するともいわれている。昨日とまったく同じように働いていても、一夜で儲けが吹っ飛んでしまうのだから、グローバル経済というのは恐ろしいものだ。

 “日本経済は輸出を生業としているのだから、円高になったら大変なのだ”と漠然と感じていたが、日本のGDPに占める輸出依存度は17~8㌫程度で、先進国の中では米国に次ぐ低い水準なのだそうだ。むしろ、資源のほとんどすべてと食品の相当割合を輸入している日本にとって、円高はデメリット以上にメリットが大きいはずなのだ。

 にもかかわらず、円高が深刻な問題となるのは、輸出企業の業績はたちまち悪化するのに対し、輸入産業がその恩恵に浴し、それを一般消費者が享受するまでに時間がかかることにある。ガソリン価格もその一つで、原油の国際相場がほぼ横ばいで推移している状況の中で、円相場の急激な上昇と比べて、ガソリン価格は下降しているとはいえ、その速度は緩やかだ。

 そろそろ“猛暑特需”も終わりそうなので、ここらで一発「家計支援・円高還元セール」を敢行して、需要のテコ入れを図るというのはどうだろう。きっと国民から感謝されるに違いない。国民の“石油離れ”を食い止める好機ではなかろうか。一昨年、原油高騰の折には、爆値上げの連続で相当恨みを買ったのだから、ここは一つ、石油元売各社は出し惜しみすることなく、安い油をドーンと市場に放出していただきたいものだ。せめて、前金決済のうえ、販管コストがかからない外販製品(業転ガソリン)だけでも。日本経済が危機的状況にあるという時に、ゆめゆめ市中買いなどという“市場介入”などなさいませんように。

 いずれにせよ、「いま店頭で売られているガソリンはおよそ1ヶ月前のもので…」なんて言い訳は、消費者には通用しない。現在の為替水準がまだしばらく続くようであれば、嫌がおうでもガソリンなど輸入品への下げ圧力が一段と強まることだろう。「仕切り価格が下げ局面のいまこそしっかりとマージン確保を」といった意見も、所詮、消費者心理を顧みない業界論理に過ぎず、灯油商戦と相まって、厳しい価格競争が続くことだろう。「下がったら それよりさらに 値下げする」というのがガソリン屋の“性”なのであって、GS業界は今後も“デフレ戦線異状なし”の様相だ。

 下げ基調の市況の中でGS経営者がなすべき事は、一にも二にもコスト削減だ。円高のメリットのひとつに、海外の有名ブランド品を安く手に入れられることがあるが、元売に対しても、円高期間中は「ブランド料」を下げるか、撤廃するよう要求し、仕入れコストを下げる努力をすべきではないか。それに加えて自社コストの徹底的な見直しが不可欠。昨年初めのようなガソリン価格百円割れ(あれはしんどかったな~)も視野に入れ、ローコストセルフの追求に余念のないきょうこの頃である。

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