セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.327『売却のニュース』

GS業界・セルフシステム

2010-10-04

 10月1日の朝は「売却」のニュースで目を覚ました。

 『いや~、やっぱり赤字が続くようじゃあ、売り払うほかないよな~。でもすんなり売却できるのかねぇ。どっちにせよ、ファンの心情は察するに余りある。一部報道によれば、本拠地が新潟になるかもしれないというから、選手も大変だな…えっ?!何の話をしてるんだって?横浜ベイスターズの売却のことに決まってるじゃないですか!あなたこそ、何の「売却」のこと言ってるんですか? ハァ?“エクソン-モービル日本撤退”ですって?そんなこと2年前の6月にEMが全米2,200ヶ所の直営GSの売却を発表した時からわかってたことですよ。その2ヶ月後にEMは、早速、チリでのGS事業をブラジルの国営石油会社ペトロブラスに売却してるし、そのペトロ社はEM系石油精製会社・南西石油も買収してるじゃないですか。EMの日本市場からの撤退は時間の問題だったわけで、そんなニュースで驚いているあなたは、さては、石油業界のことを何にも知らないシロウトさんですな?』─。

 報道によれば、EMはまず収益性の低い九州地区(約400店)のGSの営業権を売却するそうで、大手商社系の石油販売会社などに打診しているとのこと。これを皮切りに、販売・物流部門を地域毎に段階的に売却するということになるという。エクソンは米国やオーストラリアで自社ブランドを残しながらGS事業から撤退し、収益性の高い石油精製・化学部門に事業領域を絞り込んでいる。同様のモデルを導入することは間違いなさそうだ。続報では、EMは手始めに九州にあるEM所有の20店舗を売却することを発表したとのことだ。いずれにせよ、「石油元売は小売部門を持つ必要がない」という姿勢を、世界最強の石油会社が明確に示したことの意味は大きい。

 EM系列のGS経営者も心中穏やかではあるまい。よもや、「営業権が移動するだけで、マークは変わりゃしないんだから、何も心配するこたぁないよ」などとのん気に構えておられる方はおられまい。報道どおり、地域ごとに切り売りされるということになれば、横浜ベイスターズの選手よりずっと気の毒な立場に置かれかねない。たとえば、ベイスターズの選手がばら売りされることになれば、ヒットメーカー・内川聖一や、長距離砲・村田修一、投手陣では清水直行や山口俊らについては激しい獲得合戦が繰り広げられ、いまよりももっと良い環境でプレーすることになるかもしれない。だが、他の選手はどうか。ベイスターズのファンには申し訳ないが、大した選手はおらず、言い値で買い叩かれるか、どこからも声がかからないかのどちらかだろう。

 ではあなたのGSはどうか。EM系列店だけの話ではない。EMで起きたことは、遅かれ早かれ必ず他の元売でも生じる、というのがこの業界のジンクスだからだ。もしあなたの所属する元売が、あなたたちを“切り売り”し始めた時、新たな取引相手から、「ぜひうちのマークを背負ってやってください」と引き止めてもらえる存在だろうか。それとも、「どうぞ好きになさってください。うちと取引したいのであれば…」と、厳しい条件を突きつけられることになるだろうか。いずれにせよ、独立系GSとなることも視野に入れて、一日も早く元売に頼らない独自のセルフシステムを導入し、合理化・現金化を図ることで「その日」の到来に向けて体制を整えるべきだ。

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