セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.335『「龍馬伝」終わる』

エンタメ・スポーツ

2010-11-29

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」、とうとう終わってしまったがぜよ!─というわけで、今週もまた「龍馬伝」の話をさせていただきます。龍馬と言えば、やはり薩長同盟。反目しあう薩長両藩を、討幕という大義によって結び合わせた稀代の“調整者”として歴史に名を残した。もし、龍馬がいまのGS業界を観たら、無益な価格戦争に明け暮れ、自殺行為を繰り広げている我々に、「争いからは何ちゃあ生まれん。こんな馬鹿なことを繰り返しちょったら、日本中のGSはみんな国営会社になってしまうがぜよ」と訴え、GS経営者を説得してまわり、大同団結へと導いてくれるかもしれない。

 世間では、そのような行為を談合と呼ぶのだろうが、自由競争の名の下で出血に次ぐ出血を重ね、毎年のように千軒を越える店舗が消滅し、地方ではGS過疎問題が生じるまでになっている状況を、このまま放置しておいていいはずがない。業界とそこで働く人々が繁栄を享受するためには、行政や元売に頼りきりになるのではなく、皆で知恵を出し合うことが肝要である。

 しかし、残念ながら、いつの世も争いは絶えない。龍馬が夢見た新しい日本は、近代国家へと発展していったものの、その後、帝国主義によって戦争の道へと突き進んでいった。「みんなが笑って暮らせる世の中」はいまだ実現できぬどころか、遠退いてゆくばかりだ。我々の業界も、危機的状況にあるというのに、争いが終わる気配はない。例えば、日進市では先週はじめ、またまた市況是正のための値上げが行なわれ、看板価格が一斉に125円から135円へと改定されたが、案の定、金曜日には5円値下がりしてしまった。恐らく今週中に元の価格に戻ってしまうだろう。まったく情けない限りぜよ。

 いまから12年前に日本においてセルフ給油が認可された時、GS業界は、コストに見合った価格設定でガソリンを販売するシステムを築くチャンスを得たはずだった。しかし、「日本のGS業界の夜明けぜよ~」と叫んだのもつかの間、セルフを量販のツールとみなした元売の政策によって、その希望は潰えてしまった。龍馬は、亀山社中によって薩摩が長州にミニエー銃を売り渡す仲立ちをするが、その最新式の兵器は、あくまで「戦をせん為」の武器であった。龍馬のような思想があれば、セルフシステムによって日本のGS業界はむしろ繁栄したのではと思う。

 しかし、幸か不幸か、セルフ化すればたちまち2倍、3倍とガソリンが売れるという時代は終わりを告げ、GS業界はいよいよコスト管理の必要性に迫られている。縮小する市場の中にあって、今度こそ、セルフシステムは本来の目的に沿った仕方で運用されなければならない。日本のGS総数に占めるセルフスタンドの割合はまだ2割程度。これからが、真のセルフスタンドの時代の幕開けだと信じたい。

 私は毎週、日曜日の夕方ごろからこのコラムを書き始めるのだが、この一年は、途中で「龍馬伝」を観て、その興奮冷めやらぬまま、「オレも日本のGS業界のためにがんばるぜよー」と意味不明の気合を入れながら再びパソコンに向かっていた。おかげで、ただでさえ大げさな文章が、さらにとりとめのないものになってしまったと反省している。

 それにしても、「龍馬伝」が終わって、生活の楽しみがひとつ無くなってしまったのは残念である。もう、この作品を超える大河ドラマは作れないだろう。来年は上野樹里で「江」、再来年は松山ケンイチで「平清盛」だそうだが、全然興味なし。来年からは、龍馬に邪魔されずに済むので、もっとサクサクとコラムが書けそうだ…。

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