セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.337『GS過疎化地域』

GS業界・セルフシステム

2010-12-13

 12月8日の「報道ステーション」の特集で、長野県の山村にたった一軒しかないガソリンスタンドが閉店してしまい、貴重なライフラインを失った村民たちが出資して、ガソリンスタンド再建に乗り出したことが報じられていた。

 経産省によると、GSが3ヶ所以下になった自治体は2008年時点で222市町村と、全市町村の13%に達しているという。経産省は、業界団体や自治体の代表者らによる研究会を設立し、GS過疎化地域の支援策を打ち出すことにしたそうだ。

 GS業界の衰退はいまに始まったことではないし、ここに至るまでの過当競争を放置してきたのは経産省だ。むしろ、国内のGS軒数を漸次減少させるよう積極的に誘導してきたといっても良い。いまになって、GS過疎地を支援しようなんて片腹痛い。いっそのこと、そういう地域からオール電化にしてしまい、電気自動車を普及させ、エコ・モデル地域にしてしまったらどうだろう。ただし、災害などで送電線が切れてしまったら、村民は全員凍え死んじゃうけどね。

 冗談はさておき、過疎地域におけるGSは、元売子会社が運営するよう義務付けるのが一番だ。元売は、もうこれ以上GSは必要ないという地域に、相変わらず馬鹿みたいな大型店舗を作っているが、本当にGSが必要とされる地域にGSを建設し、エネルギーを安定供給することが、石油会社の社会的責務ではないか。いわんや、北海道や九州はコスト高になるので撤退するなんてことを平気でほざくどこぞの外資系元売なんぞは、日本国にとって必要ない。

 中には、“村に一軒しかないGSなら、1㍑200円ぐらいでガソリンを売ることだってできるじゃん”なんてことを言う人もいるかもしれないが、実際は、そういう地域に住んでいる人の大半は年金受給者だ。そんな人たちから暴利を得るわけにも行かず、GS経営は厳しい状況に置かれているのだ。だから元売は、GS運営が難しいのであれば、せめて、過疎地域のGSに対して、仕入れ価格で優遇するなどの措置を講ずるべきではないか。あるいは、COD決済などと杓子定規なことを言わず、支払いサイトも融通を利かせてあげれば良いではないか。

 いかなる地域であれ、GS経営において最も重要なことはコスト抑制だ。過疎地域においては、これにスタッフの高齢化という問題も加わる。私は、過疎地域のGSこそセルフ化すべきと考える。ただし、その際、行政から特別措置として、現行の消防法の規定を緩和してもらうべきだ。セルフ化に伴い必要とされる諸設備のかなりのものは、“こんなもの本当に要るの?”と首を傾げたくなるようなものだ。せめて、過疎地のGSだけでも、そうした無駄な規制を取っ払い、小さい投資額でセルフ化できるように助けてあげるべきではないだろうか。

 それにしても、村でただ一軒のGS経営者ってどんな立場なのかな、と想像してみたりする。とりわけ冬は、地域住民の命にかかわる貴重な燃料を販売しているのだから、村人たちからたいそう崇められていたりするのかしらん。どうせGSを経営するなら、地域の人から感謝され、尊敬されたいものだ。おれも、どこかの山奥でセルフスタンドやろうかな…。

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