セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.340『ガソリンスタンド併設』

GS業界・セルフシステム

2011-01-10

 今月 9日、セブン&アイ・ホールディングスは、子会社の米セブン・イレブンが、エクソン・モービルからフロリダ州で展開しているコンビニ店舗 183店を買収したと発表した。セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は、ロイターとのインタビューで、「ガソリンスタンド併設のコンビニで再編が出てきている。こうした案件は今後も多くでるとみており、エリアとしてドミナント化できるならば、M&Aの対象になってくる」と述べ、今後もこうした案件の取得を検討する考えを示した。

 「コンビニ併設の…」ではなく、「ガソリンスタンド併設の…」と言っているところがミソ。コンビニはあくまでGSに従属するものと錯誤したままのGS経営者をあざ笑うかのように、まず米国でコンビニ主導のGS経営が本格化しようとしている。EMのホームページによれば、日本では現在50店舗のセブン店舗併設GSが展開中で、すべて「エクスプレス」─EM標準セルフスタンドによるものだ。(ちなみに、ドトールコーヒーも併設している店舗が2ヶ所ある)。それらの多くは、EM代理店が経営しているものだが、もしフロリダのようなことがあれば、それらの店舗は“セブン・イレブンの代理店”になるかもしれない。あくまで推測だが。

 しかし、EMも含めどの系列のコンビニ併設GSも、依然として“はじめにGSありき”の発想で運営されているのが現状のようだ。店舗全体を統括するマネジャーも、大抵はGSユニフォームを着用して、GSでの仕事を主に行なっている。だが、本当はこれを逆転させるべきなのだ。

 コンビニでは4,000品目以上のアイテムが扱われており、それを日々刻々と陳列・撤去する作業が行なわれている。コンビニの店長は、GSにはほとんどない“廃棄”というコストをいかに抑制するかという命題と常に戦っている。したがって、売れ筋・売れ時を絶えず考えていなければならない。例えば、あるコンビニ・チェーンでは、夏場に気温がある温度以内のあいだはアイスクリームを主体に冷蔵ケースに入れておき、それを超えたらカキ氷類を多めに入れるよう指示されているのだそうだ。また、人気アニメキャラクターのお菓子類は、そのアニメが放映された曜日の翌日が最も売れるので、陳列もそれに応じて代えるのだという。こうした緻密なオペレーションは、雨が降っているというのに惰性で窓拭きをしているどこぞのGSの阿呆にはとてもできない。逆にコンビニの運営ができる人材であれば、GS、とりわけセルフスタンドの運営などさして難しいことではないだろう。コンビニの経営はGS経営の片手間ではできないが、ローコスト・セルフシステムのGSであれば、コンビニ経営の片手間で十分運営できるのである。

 コンビニは預金の引き出しや公共料金の支払い、宅配物の受け渡しなど、どんどん付加機能を強化させており、もはや市民生活になくてはならない存在だ。そのコンビニが、駐車場の一角に「セルフ給油コーナー」を設けるようになれば、それこそまさに真の「サービスステーション」と呼ぶにふさわしい業態ではないだろうか。『おれ、ちょっとコンビニに寄ってガソリン入れてくるわ』『じゃあ、ついでにお金下ろしてきてよ』なんてライフスタイルが定着するようになれば、電気自動車の時代が到来するのを待つまでもなく、GS業界は落日を迎えることになろう。近年のエクソンとセブンの“蜜月”ぶりを見ると、それほど遠くない将来、コンビニがGS業界の支配者となる日が来るのではないかと予測するのは私だけだろうか。

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