セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.344『SNS』

社会・国際

2011-02-07

 エジプトの政情不安が原油価格高騰を引き起こしている。30年近く続いたムバラク政権に対する国民の不満が一気に爆発,国内各地でデモや暴動が頻発している。エジプト自体は,世界的な産油国というわけではないが,地中海と紅海を結ぶスエズ運河を有しており,もし運河が閉鎖されることになれば,原油価格はたちまち1バレル200㌦に達するとの見方もある。しかし,今後の中東情勢や原油価格の動向については,専門家のセンセイ方が詳しく分析してくださるであろうから,別のテーマでエジプト問題を考えたい。

 そもそも今回のエジプトの動乱は,同じく地中海に面するチュニジアでの革命が引き金になったとされている。チュニジアの国花にちなんで命名された「ジャスミン革命」は,去年の12月に,失業中のチュニジア青年が青空市場で農産物を無免許で売ろうとしたところ,これを警察官にとがめられ,公衆の面前で辱められたために焼身自殺を図ったことがきっかけとなり,瞬く間に政府を転覆させてしまった。

 チュニジアの革命,エジプトの動乱のいずれも,かつてのレーニンやカストロのような強力なリーダーによって引き起こされたものではない。その主役は「フェースブック」や「ツイッター」だ。貧富の差への不満や言論抑圧への反発が,これらソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて瞬時に国中・世界中に広がり,強大な国家を壊滅させる。長期の王族支配が続く中東諸国は,自国に“SNS革命”が飛び火しないかと神経を尖らせているという。

 いまや,インターネットによる情報の共有化は当たり前のこととなった。GS業界のSNSといえば,広島県呉市のGS経営者が立ち上げた「ST31」(http://st31.com)がつとに有名である。一日のアクセス数が4,000回を超えるまでに成長したこのサイトの秘密は,何と言っても各地域の仕入れ価格の情報だ。「ウチはあすからレギュラー○□円になります」「ある商社筋からこんな見積りが来ています」なんて情報が全国から書き込まれてくるため,自社の仕入れ価格が高いか安いかがたちどころにわかる。近年,PBスタンドが増加傾向にあるのは,こうした情報の共有化が進んだためではないかと思う。

 とはいえ,GS業界はそうした情報にまだまだ疎いのかもしれない。「ブランド料」の値上げによって,元売各社は予想を上まわる収益をあげているというのに,GS業界は相変わらず厳しい経営環境にさらされている。とりわけ,系列店の仕入れ価格と業転価格との差は広がる一方で,チュニジアやエジプトの例で行けば,全国の系列店が一斉蜂起してもおかしくない状況なのだが,多くの系列店は毛を刈られる羊のようにおとなしくこれに従っている。これだけ情報を簡単に入手できるようになったにもかかわらず,相変わらず不利な立場に甘んじているGS経営者には,理解しがたいものを感じる。もしかして,パソコンの使い方を知らないとか?!

 全石連は,元売の「ブランド料」は1円程度が妥当との考えをまとめたそうだが,あくまで「まとめた」だけで,具体的なアクションを起こすわけではないから,元売にとっては怖くも何ともないのではないか。むしろ,「ST31」などで飛び交う情報が,これまで言われるがままになっていたGS経営者を覚醒させていることのほうに脅威を感じているのではないだろうか。SNSはGS業界にも革命を引き起こすかもしれない。

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