セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.350『計画閉店』

GS業界・セルフシステム

2011-03-21

 東北・関東大震災のによる,死者・行方不明者の数は2万1千人を超えた。その一人ひとりが,3月11日のあの日あの時まで,だれかの夫や妻,だれかの親や子ども,だれかの兄弟や友人として,普段と同じ営みをしていたのだ。そう考えると,わたしたちの生活の基盤というものは,何と脆弱なものなのかと思い知らされる。いま幸せの絶頂にいるとしても,それが明日も続くという保証は何もないのだ。

 今回の震災で,日本経済の基盤も大きく揺らいでいる。世界最高レベルの安全性を誇っていた原子力発電所は,無残な瓦礫と化した。放射能の恐怖が東北地方の農・漁業に深刻な打撃をもたらそうとしている。福島1号原発は廃炉,国内の原発建設は当分凍結となり,休眠中の火力発電所の立ち上げには2~3ヶ月を要するといわれている。東京電力は,夏場の電力需要を賄うことができるのだろうか。

 コメも石油も,日本国内では「作り過ぎ」として生産拠点を縮小してきたが,ここへ来て「足りない,もっと供給を」の大合唱となっている。“国策”というものが一瞬にして覆ってしまったのだ。とりわけ,石油については,日本が震災で大わらわの内に,リビア空爆が始まり,原油価格の一段の騰勢が懸念されている。日本の石油業界は,まさに内憂外患のまっただ中にあると言える。

 東海地方においても,震災の影響が日に日に増している。全量業転玉に頼っている私の店にも,数社から「今週は出荷できません」というFAXが送られてきた。“こりゃあいつガス欠するかわからんな”ということで,とりあえず,一万円と二万円のプリカは当分のあいだ販売休止に。灯油計量機には「お一人様一缶でお願いします」と張り紙。幸い,愛知県は日ごとに暖かくなってきており,燃料に関しては,買いだめしようという動きはほとんどない。

 肝心のガソリンはと言えば,先週の木曜日から金曜日にかけて,PBスタンドが頼みの綱とする名古屋9号地大手タンク会社が,“出す,出さない”の騒動の挙句,結局,連休中は出荷停止を宣言,業転会社は大混乱に陥った。私の店も,土曜日に予約してあったガソリンがキャンセルとなり慌てたが,何とか別ルートでの調達ができることになり,臨時休業を免れた。しかし,当初予定していた数量の3分の2程度のため,19日からの3連休中は,とりあえず夜9時半から翌朝6時半まで「計画閉店」を行なうことにした。

 果たして,2000年5月より一時も休止することなく営業を続けてきた,我が「セルフスタンド日進東」だが,遂にその記録をストップさせることとなった。昨年,連続フルイニング出場記録が途絶えた阪神・金本の心境が少しだけ分かったような気がする。

 ところが,土・日曜日とさっぱり売れないんだな,これが。さもあらん。連日被災地の窮状が報じられている中で,ガソリン焚いてどこかへ遊びに行こうなんて気分にはなれないのだ。ディズニーランドも休みだし。また,カセットコンロや乾電池,カップラーメンなどを買いだめしたため,余分な出費で懐具合も芳しくない。おまけに,ガソリン価格は先週中ごろから140円台後半に値上がりし,その後値崩れすることなく推移している。こんな状況だから,売上は伸びず,ガス欠は杞憂に終わり,「計画閉店」はあえなく2日で中止となった。とはいえ,まだまだ先の見えない経済情勢が続く。来週のいまごろはどうなっていることやら。

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