セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.368『デジタル経営』

社会・国際

2011-07-25

 今月24日正午に,被災した東北三県を除く国内のすべての地域で,アナログ放送が終了し,デジタル放送へと移行された。おかげで,すべての国民がテレビ番組を見るために,デジタルテレビに買い換えるか,地デジチューナーを購入するはめになってしまった。

 なぜデジタル化するかといえば,ただ単にテレビの画質や音質を向上させるということだけでなく,近年,携帯電話の普及や,無線を用いたブロードバンドサービスなどの出現で逼迫していた日本の電波事情を緩和するための措置でもあるという。

 テレビに限らず,通信・映像機器のほとんどは,デジタル対応の仕様となっているうえ,デジタル化されたデータをより多く,より速く送るための技術が,日進月歩で開発・提供されているが,そうした“文明の利器”を果たして使いこなせるかどうか─。

 そう問われて,『いやぁ~俺は“アナログ人間”だから…』とおっしゃる方は多い。“アナログ人間”という言葉は,パソコンをはじめとするデジタル機器の操作が不得手な人のことを指してしばしば用いられるが,そこから派生するイメージで,合理的判断が苦手で,感情に支配されやすく,優柔不断な人の総称にまでなってしまっている。

 しかし,人間とはそもそもそういう生き物である。人間社会のすべてが0か1か,白か黒か,是か非かと割り切れるはずがない。とりわけ日本人は,独自性よりも協調性を重んじ,精神論が大好きで,合理的に物事を行なうことは冷淡であるとさえみなす民族である。日本のGSにおいて掛売りというアナログ的商習慣が根強く存在することや,セルフスタンドがいまだ全体の2割程度しかない現状も,もしかしたらこうした国民性によるものかもしれない。

 しかし,GSをとりまく環境は,人間味あるアナログ的経営を許す状況ではなくなってきている。仕入先の価格体系は,かつてのような柔軟性がなく,現金先払いが必須条件となっている。客の多くも,GSに温かみや安らぎのようなものを求めず,安く,速く給油できればそれでよしとしている。

 仕入先も顧客も,よく言えば二進法的でわかりやすい,悪く言えば規則的で融通が効かず“デジタル化”している状況の中で,GS経営者がいつまでもアナログ周波しか発信していないとすれば,やがてだれにも“受信”してもらえないのではないか。

 前述したとおり,放送電波をデジタルに統一することによって,現在限界に来ている日本の電波使用帯域に3分の1程度の空きをつくることができ,それを今後必要となってくるであろう新たな通信サービスのために確保しておくことができるという。つまり,デジタル化によって余裕ができるというわけだ。

 GS経営の合理化によってどれほどの余裕が生じるかは,それぞれの会社で異なるであろうが,“次の一手”を打つための資金や時間や人材を確保するためには,いま,経営の“デジタル化”は避けて通れないと思う。セルフ化して手持ち無沙汰になったのなら,余暇を楽しんだり,家族と過ごすために用いても良いではないか。そうするとき,あなたは魅力的な真の“アナログ人間”になることができる。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ