セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.369『値引きキャンペーン』

GS業界・セルフシステム

2011-08-01

 『韓国ガソリン市場で,業界万年2位だったGSカルテックスがSKエナジーを抜きシェア首位に立ったことが分かった。韓国石油公社によると,石油元売り別の先月のシェアは,GSカルテックスが32.7%で,SKエナジーを0.5ポイント上回った。(中略) 各社は今月初めまでの約3か月にわたり,ガソリン価格を1リットル当たり100ウォン(約7.5円)引きで販売していたが,この期間,SKエナジーがクレジットカードで割り引いていたのに対し,GSカルテックスはスタンドで割り引くという方法を取っていたことが影響したと分析される』─7月21日付「ソウル聯合ニュース」

 お隣りの国でも,元売主導によるシェア重視の販売競争が繰り広げられているようだ。そう言えば,今年の2月に,KBSテレビ・東京支局の記者から,日本の独立系GSの事情について教えて欲しいとの電話取材を受けたことがある。記者によれば,韓国には独立系GSは数えるほどしかなく,国内の大半のGSは外資系または財閥系の四大元売りの支配下にあるとのことだった。しかし,近年,元売り間の激しいシェア争いのあおりで,韓国々内のGSは疲弊し,元売りに属さない独立系GSを模索する動きが活発化しているという。

 海外のGS事情に疎い私は,“韓国には独立系GSは数えるほどしかない”との記者の言葉に少々驚いた。韓国の製油所は稼働率が高く,日本の製油所の半分程度のコストで精製できると聞いていたので,てっきり独立系GSも隆盛しているものと想像していたからだ。「わたしたち日本の独立系GSは,国内の業転品や輸入ガソリンなどを,石油商社を通じて仕入れて販売しています。韓国からも輸入していますよ」と答えると,「“ギョウテン”とはどういうものですか?韓国からもガソリンを輸入しているのですか?」と問い質される始末。私の持ち合わせる浅薄な知識を駆使してとおり一遍の説明をすると,「いやぁ~,不勉強でした。ところで,和田さんのGSにお邪魔してもう少し詳しい取材をしたいのですが」とのこと。あわててお断りし,さらに詳しい取材は,COC(中央石油販売事業協同組合)へお願いしますと勝手に振らせていただいた。(関さんスミマセン)

 いま,日本でもエクソンモービルがセブンイレブンとタイアップして「20㍑以上で100円引き」,つまり最大5円の値引きキャンペーンを展開しているが, 日本であれ,韓国であれ,やはりGSにおける最も効果的な集客方法は,価格値引き,それも店頭で現金値引きすることなのだ。もちろん,その値引きの原資は石油元売りが負担してくれるのだろうが,いやが応にも,価格競争に参戦させられる系列店はつくづく大変だなと思う。一時的にカンフル剤を注入して増販させても,キャンペーン終了後にはたちまちボリュームは元に戻ってしまうし,その実績に基づいて前月・前年対比を測られたのではたまったものではない。“せっかくキャンペーンを企画して,お客を集めてやったのに,それを固定化できないのは,経営努力が足らないからだ”などと元売りから叱られた日にゃあ,“もうやってられねぇ! ”とばかりに,サインポールをノコギリで切り倒したくなるかもしれない。(ならないか…)

 結局のところ,独立系への道を模索するGS経営者は,何のご利益もないブランド料を払わずに済むだけでなく,元売りに指図を受けることなく,自らの仕入れ能力とコスト体質に応じた価格で販売できる“自由”を獲得することができるのである。ただし,それをかち得るためには,それ相応の覚悟がいることは言うまでもない。

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