セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.371『PB化の手ほどき』

GS業界・セルフシステム

2011-08-15

 先週の業転ガソリン市場は,エクソンモービルが,週半ばの水曜日・10日に,外販価格を一気に3円値下げするという事態を受け,異常とも言える値下げ合戦が繰り広げられた。通常の価格改定日である土曜日・6日には,業転各社からファックスで送られてきた見積り価格は,概ね125円(運賃込み・消費税別,以下同じ)台だったのだが,10日には取り引きしているすべての商社・卸会社の担当者から,複数回数電話がかかってきた

 電話の内容は一様に,「他社さんからは幾らぐらいの価格が出ていますか?」という問い合わせ。そのたびに最安値の価格を告げると,「じゃあウチはそこからさらにこれだけ値引きしますから買ってください!」─そして朝から昼過ぎにかけて,わずか20キロ㍑,タンクローリー1台分のガソリンを巡って“後出しじゃんけん合戦”となり,最後は121.5円で発注することになった。さらに下がりそうな勢いだったが,こっちもうんざりして,「もうこの辺でやめてよ」とあきらめてもらった。

 歴史的な円高水準と原油相場の急落,そのうえ先月下旬から続いている出荷不振も手伝って,絶叫マシンさながらの急降下となったわけだが,気の毒なのはそれを蚊帳の外から見守るしかなかった系列スタンド,とりわけ小規模店の店主の方々である。聞けば,業転ガソリンとの仕入れ格差は,「ブランド料」の4円よりさらに広がり,6円程度となっているとのこと。三者店に至っては10円近くも高く仕切られているところもあるらしい。

 仮に一過性のものだったとしても,系列店主にしてみれば“やってらんねぇよ!”と言いたくなる話だ。しかし,私に言わせれば,どうしてそんな高いガソリンを買い続けるのかわからない。いや,実際のところおおよそのことはわかっているが,いつまで元売の“植民地”のような立場に甘んじるつもりなのだろう─。

 中には,「ブランド料」上乗せ以降,広がる一方の仕入れ格差に耐え切れなくなり,独自で勉強会を立ち上げて,独立系GSとなるための準備を進めようとしているGS経営者たちもいるらしいが,何でわざわざ「勉強会」なんか立ち上げなきゃいけないのだろう。“PB化,みんなで渡れば怖くない”ということか。いずれにせよ,PB化への流れはさらに加速しそうである。

 こうなったらいっそのこと,元売の主催で,系列の代理店&特約店&販売店の店主たちを集め,独立系GSの経営者を招いて『独立系GSへの道のり』と題した講演会をやるとか,『ここが知りたい!PBスタンド』と銘打ってパネルディスカッションなどをやればいいと思う。それでPB化する店主たちが現れても,所詮出元は同じ,外販ルートでガソリンを引いてもらえれば,正直,コストをかけずに済むので,それはそれでOKということになるまいか。

 もちろん,仕入れ価格が高くても,系列内に所属することは,そのハンディを補って余りあるメリットがあるということも併せて告知すべきだろう。以前はPBだったものの,最近系列入りしたGS経営者に経験談を語ってもらい,PBスタンドの経営は傍で見るほど楽ではないということをしっかりお勉強してもらえば良い。もっとも,「わたしはこれこれの条件で系列入りしました」なんて話を暴露されたら元も子もないが…。

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