セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.374『総理!』

政治・経済

2011-09-05

 『どじょうのように泥臭くがんばるノダ』というのが,今度の総理大臣のモットー。派手なパフォーマンスは控え,実績で評価して欲しいとの思いがにじみ出ているが,「庶民派」を自称する首相は,いきなり強烈なパフォーマンスを披露してくれた。組閣を終えた翌日の今月3日,野田首相は,東京・虎ノ門にある10分1,000円のヘアカット専門店「QBハウス」で散髪したのである。財務相当時からの行きつけだったらしいが,日本の最高指導者が,「QBハウス」で散髪したということはなかなか興味深い話ではないか。

 オリックス・グループで全国で400ヶ所を超える店舗を運営する「QBハウス」は,「床屋」の作業工程を徹底的に効率化し,髭剃りやシャンプーなどを省いて,ヘアカットのみで1人約10分で仕上げることにより低価格を実現,急成長を遂げてきた。ところが,これに脅威を感じた理美容業界は,「頭の毛を掃除機みたいなもので吸うだけでは不衛生」だとして,業界組合を通じて行政を動かし,「温水を供給できる洗髪設備」の設置を条例で義務付けさせた。これに対し,「QBハウス」は従業員休憩室にシャンプー台を設置することで条例をクリアしている。

 何とも馬鹿げた話ではないか。一体何のための条例なのか。これでは,「QBハウス」に,不必要な設備投資を強いているだけの,単なる嫌がらせではないか。散髪を終えた首相は,記者団に感想を問われ「さっぱりした」と語ったそうだが,せっかくなら,こんなやり取りが聞きたかった。

 「総理,髭は剃らないんですか?」

 「電気カミソリで剃ります」

 「洗髪はなさらないんですか?」

 「どっちみち今晩風呂に入るとき洗うから必要ありません」

 「QBハウスのようなローコスト店に規制をかける行政のあり方については?」

 「規制緩和は私の内閣でもしっかり取り組んでゆきたいと思います」─。

 セルフスタンドに義務付けている設備や業務もまた,過重なコスト負担を強いるものとなっている。下手にセルフ改造しようものなら,かえってコストがかさみ,何のためにセルフ化したか分からなくなってしまう。そのうえ,PBセルフにでもなろうものなら,石油連盟から年間18万円もの分析委託料を徴収される。つまり,セルフは「危険」,PBは「粗悪」と決め付け,「安全・安心」の大義のもと様々な規制を課して,ローコストによる新たなビジネスモデルを潰そうとしているように思えてならないのだ。新首相には,今度はぜひ,公用車を自分で運転して,PBセルフスタンドで給油してもらいたい。

 「総理,どうしてこのスタンドを選ばれたんですか?」

 「ここが一番安いんものですから」

 「セルフ給油は危険ではありませんか?」

 「ハハハ,大丈夫ですよ。それに近くに人がいないでSPの方もやりやすいそうです」

 「PBのガソリンは品質に問題があるとの声もありますが」

 「このあいだエネ庁長官に聞いたら,PBスタンドのガソリンも,元をたどれば石油元売りなので全然心配ないとのことでした。それにPBは10日に1度の品質検査が義務付けられているので,かえって安心…あ,もう給油が済んだので失礼します」─。

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