セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.380『COD』

GS業界・セルフシステム

2011-10-24

 ある日突然,元売会社の担当者が上席者を伴なってあなたのGSを訪ねてくる。「何事ですか,珍しい…」と問うと,「実は,来月から弊社との代金決済がCODに切り替わることをお知らせにまいりました」と担当者。「えっ?“シーオーディー”って何ですか?」─。

 CODは“キャッシュ・オン・デリバリー”の略称である。つまり,現金着払い,代金引換払いのことだ。これまで,1ヶ月の仕入れ代金を翌月末にまとめて支払っていたものを,タンクローリーで仕入れるたびに現金で支払う方式に変更するということを意味している。

 「そんなこと,急に言われてもすぐにできないよ。だって今月の代金分プラス来月の代金を準備しなきゃいけないってことでしょ?」「そうなんですよ。ですから,これまで商品代担保としてお預かりしていた御社の不動産の担保を解除しますので,それを銀行に差し出して商品代を借り入れていただいて…」と担当者はしゃあしゃあと提案する─。

 すでに,多くのGS経営者が経験してきたことではあるが,潤沢なキャッシュフローがある場合を別にして,CODへの移行は結構しんどい作業だ。何とかCODに切り替えることができたとしても,その都度の商品代をかき集めて銀行に振り込む(無論,振込料は当方負担) のは,やっぱりしんどい。いま受け取ったボールを,すぐさま隣りに放り投げる,ラグビー選手のような感覚だ。

 そもそも,CODというコトバは,一杯ごとに会計を済ませるショットバーなどで使われるようになったものなのだとか。いちいち払うのが面倒くさい場合は,あらかじめ2~3杯分払うこともできる。元売の中にも,ローリー何車分かをまとめて振り込んでくれた取引先には,早払いインセンティブなるものを出すところがある。

 それでも,基本的に元売から仕入れる“ブランドガソリン”は,業転ガソリンと比べて相当高いのが現状だ。COD決済ができる力があるGSは,PBスタンドになるほうが賢明である。中には,現金担保を積んでまで元売から仕入れているGSもあるやに聞くが,なぜそこまでして高いガソリンを仕入れるのか,是非教えていただきたい。

 一方,いまだに元売から“掛け”で商品を仕入れているGSは,PBになることなど夢想することさえ許されない。むしろ,いまだにツケでガソリンを売ってくれる元売に対して“高過ぎる”などと文句を言うなんて罰当たりもはなはだしい!しかし,いずれにせよ,そう遠くない将来,元売は冒頭で述べたとおり,COD決済への変更を通告してくるだろう。いくばくかの移行期間は設けられるかもしれないが,いずれにせよ,その時慌てたのでは手遅れだ。いまのうちに,少なくとも2ヶ月分の商品代相当の現金を準備しておいたほうが良い。

 ところで,業転ガソリンは大方,購入日の前日までに代金を支払うことになっている(月曜日に購入するときは,3日前の金曜日に振り込み)のだが,CODとは本来「着払い」なのだから,厳密に言えば,商品と引き換えに代金を払えばいいはずだ。一日違うだけで資金繰りはずいぶん助かる。宅急便みたいに,商品を運んできたタンクローリーの運転手に“ハイごくろうさん,これ商品代”と現金を渡すようにしてくれれば,振込料も払わずに済むし,楽でいいのだが…。

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