セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.385『捨てられない人へ』

GS業界・セルフシステム

2011-11-28

 この4~5年ほどのあいだにスタンドにたまっていたゴミを,産廃回収業者に引き取ってもらった。費用は6万円。中身は,電装品や機械部品,事務用品,看板類,その他様々な金属やプラスチック類などだ。当社は,プリペイドシステムの販売・施工が本業なので(一応),GSから撤去・回収してきた機械部品などが多数保管されている。再利用可能なものもあるので,「いつか何かの時に役立つだろう」と考え,捨てるのをためらっているうちに,リフト室が“ゴミ屋敷状態”になってしまった。

 この「いつか何かの役に立つだろう」という考えこそが,整理整頓を妨げる最大の障害なのだ。『捨てる名言』というインターネットサイトには,捨てられない人たちの背中を押す,数々の言葉が紹介されている。それらの中には,実際にモノを捨てることに留まらず,私が標榜しているローコスト・セルフGSの経営にも当てはまるものが少なからずある。その幾つか(以下,『 』で表記)を紹介すると─。

 『使わなきゃゴミ』─あたり前の言葉のように聞こえるが,実際,わたしたちのまわりにある物の大半は,ほとんど使われていないものではないだろうか。防災用品のようなものを除いて,それらが本当に必要なものかどうかをよく考えなくてはならない。そのための指針となるのは『使えるかではなく“使っているか”』という言葉だ。

 みなさんのGSにもロクに使われていない器材や工具が結構転がっていないだろうか。それらを「ゴミ」と判定して捨てようとすると,大抵,古参従業員あたりから,「いつか…」という反対が生じる。その時,次のことば─『いつかは絶対来ない。「いつか使う」は絶対ない』と言い切ることができるのは,経営者しかいない。捨てるという行為は,その結果に責任が取れる人でなければできないのだ。“必要になったらまた買ってやる”と説き伏せてでも断行しなければ,中途半端な結果しか得られないだろう。

 考えてみれば,単に店舗の整理整頓だけにとどまらず,GSのコスト削減もまた,同じ作業といえる。セルフに改造するとなれば,それまで“仕事”とされてきた作業の多くが「捨てられる」ことになる。当然,現場からの抵抗がある。場合によっては,従業員そのものを捨てる必要に迫られるかもしれない。しかし『過去を捨てなくては,未来の場所がない』。厳しい経営環境を生き残るためには,コスト削減は待ったなしだ。「コストを効率よく配分して…」などというもっともらしい言葉に惑わされてコスト削減を先送りしていると,気がついたら「給油以外はフルサービス」などという得体の知れないセルフスタンドになってしまう。

 『迷ったらゴミ』─自分の店で本当に採算の取れる油外販売ができるのか。車検や修理,タイヤやワイパーやバッテリー,洗車など,GSで扱うべきものとされてきた商品も,採算面からよく吟味し,迷ったら思い切って一度捨ててしまったほうがいいのかもしれない。過去の成功体験にとらわれて,ためらうようなことがあってはならない。『心の隙間をゴミで埋めるな。言い訳するより振り分けろ』とは,けだし名言というべきだろう。

 確かに,「モッタイナイ」というコトバもあるが,まずは「ゴミになるようなモノを増やさない」という意識が重要だ。ローコスト・セルフへの転換は,まさにそうした生き方をはじめるためのリスタートとなるのだ。

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