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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.392『トム・ハンクス』

エンタメ・スポーツ

2012-01-23

 時々,子供連れのお客様が来られると,決まって子どもも運転手の親と一緒に車から降りてきて券売機でプリカを買ったり,給油をしようとしたりする。子どもが給油をしている親にまとわりつき,「やらせて,やらせて」とせがんでいる様子を見るたびに,あの世界初のフルCGアニメにして屈指の傑作アドベンチャー映画『トイ・ストーリー』のワンシーンを思い出す。

 母親とレストランに行く途中,立ち寄ったGS(もちろんセルフ!)で,アンディ少年は「ママ,ボク手伝うよ!」と言って車を飛び出す。そのあと,後部座席でウッディとバズは喧嘩を始め,車から落っこちてしまい…。『トイ・ストーリー』(’95)をご覧になっていない方には何がなんだかわからないかもしれないが,もしアンディ少年が給油を手伝おうとして車を降りなければ,その後のウッディとバズの冒険は始まらなかったというわけ。

 ところで,3作目まで製作されたこの人気シリーズの主人公のひとりウッディの声を演じるのはトム・ハンクス。1990年代には2年連続でアカデミー主演男優賞を獲得するという快挙を果たし,現在もコンスタントに主演作が世界中で公開される名優のひとりだが,その彼が昨年8月に,自宅近くのガソリンスタンドである“災難”に遭遇したと地元タブロイド紙が報じている。

 ハンクスが自分の車に給油していると,となりのレーンの夫婦が彼に気づき,話しかけてきた。まず妻が,「オーマイゴッド!トム・ハンクスさんじゃないですか。わたしたち,ちょうど昨夜,あなたが主演・監督した『ラリー・クラウン』を見てきたところなんですよ」。ハンクスが,「どうでした? 気に入っていただけましたか?」と尋ねると,あろうことか夫のほうが,「いいえ,気に入りませんでした。実際,あまりいい出来じゃありませんでしたね」と答えた。(!)

 妻はハンクスを怒らせてしまったのではないかと気を揉み,「そんなには悪くなかったと思いますよ。ただ,わたしたちはもっと良いものを期待していたものですから…」。(汗)ところがハンクスは,気分を害するどころか穏やかな表情で,「やれやれ,あなた方をがっかりさせたようで申し訳ないことをしましたね。わたしが映画の代金をお返しするのはどうでしょう」と言って,なんと自分の財布から25ドルを取り出して渡すと,「次の映画はもっと良いものにしますよ!」と爽やかに言って走り去って行ったという。

 さすが大スター,大したモノです。それにしても,高給住宅が建ち並ぶビバリーヒルズのGSでもセルフ方式とは。トム・ハンクスのような超セレブでも,自分で給油ノズルを握るなんて,やはりアメリカはセルフ先進国だなと感じ入った。ネットで調べてみると,セレブたちがセルフ給油しているところを撮影した画像が結構ある。どれも,私の店にやってくる客とは違って,ファッションもポーズもバッチリ決まっている。やっぱ,イケてる男女は何をやっていてもサマになる。

 ところで,給油客に面と向かって「つまらなかった」と言われてしまったトム・ハンクスの最新作は,ジュリア・ロバーツとの競演によるラブコメだそうで,日本では『幸せの教室』という邦題で5月に公開が予定されている。ハンクスが15年ぶりにメガホンをとった監督ニ作目だが,批評家の評価も散々とのことだ。彼の初監督作『すべてをあなたに』(’96)は本当に素敵な作品だったのだが…。

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