和田 信治
GS業界・セルフシステム
2012-02-13
今年に入って,いろいろなかたちで「PB化」の相談が持ち込まれるようになった。なぜ,私の所に持ち込んでくるんだろう。私は,「セルフスタンドコーディネーター」ということで,GSのセルフ化を企画し,改造工事の差配をするだけのことで,PBスタンドになるためのお手伝いをするのが仕事ではない。そもそも,PB化なんて,商品を仕入れる資金さえ工面すれば,あすからできる簡単な作業だ。オーダーを入れ,代金を振り込めば,指定した日に業転ガソリンを積んだタンクローリーが来る─それだけのことなのだ。からしの種粒ほどの決断力があればだれでもできる。
私に言わせれば,PB化は,ローコストセルフ化を実現するための過程に過ぎない。そもそも,PB化するということは,元売の指図(元売は「提案」とか「援助」と称しているが)を受けずにGS経営を行なえることを意味するのであって,それはおのずとシンプルな経営へと収れんされてゆく。いや,せざるを得ない。PB化のトンネルを抜けるとそこにはセルフの世界が待っているのだ。
私如きにPB化の相談を持ちかけてこられる方は,恐らくその先のセルフ化を見据えておられるのだろう。もっとも中には,「当社は,これこれこういうスタンドですが,PBになった方が良いでしょうか。ちなみに,セルフ化をするつもりはありません」というメールもある。勘弁してくださいよ,商売にならんじゃないですか。(苦笑)
一方で,腹をくくってPBになることを決めたうえで,ローコストセルフシステムについて具体的な質問を寄せられる方もいる。これまでに寄せられた数々の質問の中から,代表的なものを三つ取り上げたい。
質問1:敷地面積が小さくてもセルフ化は可能か。
可能である。むしろ,小さいスタンドこそ,セルフ化に適している。計量機をずらりと並べた大型セルフと比べ,販売量こそ敵わないかもしれないが,コストパフォーマンスにおいては優位に立つことができる。そして,これからのGS経営は,いよいよコスト競争力が問われる時代に突入する。
質問2:掛売り客への給油はできないのか。
そのようなことはない。PBセルフの基本は現金販売だが,優良顧客を,それが掛売り客だからといって切り捨てる必要はない。セルフコントローラーの給油モードを切り替て給油し,その給油履歴を自社POSで管理すればよい。ただし,給油はあくまでセルフでお願いすることが鉄則。
質問3:なぜプリカ方式を採用しているのか。
ローコストセルフの要諦は代金決済方式にある。プリカは現在考え得る最も簡素な決済方式であり,少ない人員で売上金を安全確実に管理することができる。プリカのランニングコストを問題視する向きもあるが,1㍑あたりのコストは概ね0.3~0.4円程度であり,それ以上に,他のセルフシステムと比べて,人件費やセキュリティ,メンテナンスなどのコストを抑えることができる。
…というわけで簡単に記したが,今後もPBか否かに関わらず,セルフ化を真剣に検討しておられる方は,何なりと,遠慮なくお問い合わせください。
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